第985話 始まりの時
地図にも記されていないその場所へはジークの転移魔法で移動したチーム[ヴァルハラ]のメンバー達はその場所の異常な後継を目のすることになる。所々に竜が蠢き、蛇が這いずるこの場所はかつて管理する神が管理していた研究所であり、世界意思決定機関によって立ち入り禁止とされてから、七年が経過したこの場所に近寄った者は二度と帰る事が出来ないとされている。
チーム[ヴァルハラ]の任務はその実力が管理する神に届く様に動く事である。
今回この場所に来たのもその為である。
「……ジークよ。今回の任務をどう見る?」
「僕はまだ疑問に思っているよ。何故、こんな任務を了承したのか。正気なのか?ベルセルク」
「チーム[ヴァルハラ]として知られるには活躍する必要がある。これは第一歩目だ」
「……今回の任務で確実に死者が出るぞ。それは、僕かもしれない……あるいは君かもねベルセルク」
「死者を出さない様に動く。これはチーム[ヴァルハラ]のリーダーとしての役割だ。ジーク、副リーダーとして最善を尽くせ」
その場に足を踏み入れた時からチーム[ヴァルハラ]の戦いは始まっていた。
「ジーク、不味いよ」
慌てて近寄るラインハルトを目にしたジークはその事態も理解していた。
「人数が減っている。気づいた?」
「あぁ、君が駆け寄っている時にね。アメリカから選抜された人間か?」
「ロシアもだよ」
「そんな筈は無い。皆そこに……」
「……アメリカも一緒だ。居なくなった人間が誰なのか分からない。皆ここに居ると認識出来るけど、数が合わない」
「ここに今居る全員を……」
その時ジークは理解した。その場に残ったのはジークとラインハルトの二人だけだと
「この状況をどう見る?」
「この場所は特殊だから、何とも言えない。二人だけでも任務を進めよう。この辺りを一掃してくれ」
ジークは自身よりも的確に対処出来るラインハルトの辺りに居る竜、蛇の対処を任せる。
「……了解!」
ラインハルトの体から無数の影の手が出現し、竜、蛇を掴み取ると、それを上空へと持ち上げる。
「辺りに竜も蛇も消え、本来のこの場所をおがめると思ったんだが……見なければ、良かったな」
ラインハルトの能力によって、影の手で竜と蛇が持ち上げられた状況で、その場に残っていたのは、今までこの場所に訪れた人や動物の死骸と竜、蛇の死骸、排泄物等だった。
「……確かに見ないほうが良かった。それでジーク、行かないって言うのかい?」
「行くって言うのか?」