第984話 ロシアとアメリカ
「……色々とあるのさ。そうしなければ、ならない理由がね」
「詳しく尋ねれば、答えるのか?」
「答えられない。口で説明するのは難しく、時間がかかる」
「……なら、良い」
ジークは諦める様にして、ラインハルトから離れていく。
極秘で進めていたこのロシアのスパイ候補の中から、十人が選抜され、このロシアを率いるリーダーはジークフリード・アンサンブル、補佐をラインハルト・フーバーが務める事となり、後日アメリカで選抜された十人と合流して、合計二十人でチーム[ヴァルハラ]として、動く事となる。
「……ジーク、アメリカのスパイ候補ってどんな人だろう?」
ラインハルトのその疑問にジークは冷たくあしらう。
「ここで考えても意味の無い事だ」
「そうだね。会ったほうが早い」
「……何故、付きまとう?」
「君が一人になろうとしているからさ」
「僕は一人になりたいんだ」
「それは集団行動をする上で賛成の出来ない事だね」
「集団行動で必要なら、する。今は必要か?」
「必要だよ。これから一緒に行動する仲間なんだから」
「……最低限のレベルでやっておく」
「それで構わないよ」
アメリカから来るスパイ候補の到着を待つロシアの代表達をジークを統率すること無く、待ち続けていた。そんな中、アメリカから選ばれた十人のスパイ候補が現れる。
「アメリカ軍選抜スパイ部隊リーダーベルセルク・フルベルクだ。宜しく」
「……ロシアを率いるジークフリード・アンサンブルだ」
アメリカとロシアのスパイを率いる二人は握手を交わす。
「……ジークフリード……ね……強いだろう」
「ベルセルク、君もね」
握手のみでお互いにその強さを確認しあった二人を見ていたアメリカ軍からスパイを率いたマーク・レベレスタは一枚の紙をベルセルクに投げつける。
ベルセルクは背後を見ること無く、その紙を取ると紙に書かれていたこの内容は直ぐには理解出来なかった。
「これは……」
「ベルセルク文字も読めないのか?」
「読めるからこそ、理解が出来ない」
「管理する神に勧誘されるには、犯罪を起こすのが一番だ。チーム[ヴァルハラ]にはその町を二十人で滅ぼしてくれ」
「簡単に言うな。それが何を意味しているのか……理解出来ているのか?」
「理解出来ているかは重要ではない。重要なのは、出来るか、出来ないかのどちらかだけだ」
「……チーム[ヴァルハラ]が失敗したら?」
「また次だ!」
「分かった。なるべき事はする」
「スパイ活動に成功すれば、お前はアメリカ軍の大将となれる」