第983話 スパイ候補
日本の元東京本部でチーム[マスク]と[レジスタンス]の戦いが行われ様としていたその時、ジークはロシアに居た。
その目的はかつてのチームメイトであるブリュンヒルデ・キースとの決着をつける為に訪れていた。何故、その様な事になったのか、それを説明するにはチーム[ヴァルハラ]の結成前にまで遡る。
管理する神に極秘で潜入する計画が世界意思決定機関の会議で議決した。
そして、会議の結果アメリカとロシアの中から選抜して、チーム[ヴァルハラ]を結成し、管理する神への潜入する形となった。
「どうだね?」
「……ジークフリード・アンサンブル、圧倒的です」
「では、彼をロシアの代表としようか」
「宜しいのですか?まだ一日ですよ」
「……では、明日決定しよう。おそらく、ジークフリードで決定だがな」
ロシアのスパイ候補として、日本でチーム[マスク]との戦闘を終えたジークも参加して居た。目的はチーム[マスク]の情報を九十九一夜に伝える事と自身の故郷を滅ぼした理由と、管理する神の目的を知る為にジークはロシアまで来て、たった一日で高い評価を得るまでの力を見せつけていた。
「凄いね。君」
ジークの元に金髪赤い瞳の中性的な男性が笑顔で話しかけていた。その男はここで一度も会話をしてこなかったジークでもこの男の事は知っていた。その実力はジークでも勝てるか、変わらないレベルであり、この中でジークが最も注目していた唯一の存在である。
「……確か、ラインハルト・フーバー」
「知っていたのかい?」
「フーバー家は代々、イギリスの王室に仕えると言われる名家だ。知らないほうが可笑しい」
「それは一族の長男だけだよイギリスの王室に仕えるのは、長男のモルドレッドのみだよ。だから僕は自由さ」
「自由に何でも出来る奴がスパイス活動に勤しむのか?」
「可笑しいかい?」
「だから、聞いている」
「自由だからこそ、選択出来た。僕には管理する神を倒さなければ……イギリスには戻れない。そう決めたんだ」
「……そうか。詳しくは聞かない」
「それで、君は?」
「……管理する神を倒すのは、勿論だが、それが僕一人で出来る事なんてうぬぼれる事はない。だからこそ、まず必要なのは情報だ。それを得る」
「……そう。詳しくは聞かない。……聞けそうもないしね」
「そうしてくれ」
「……君はここに居る誰よりも強い。ロシアの代表になれるよ」
「同然、君もね」
「根拠は?」
「手を抜いて、この実力だ。当然だろ?ロシアのスパイ代表になれるのは」