第971話鬼の仮面
「……鬼の仮面を付けた奴がトンでも無い勢いで向かっているわ。玲奈さんには伝えておいたけど」
「……天舞音、お前は鏡で皆を避難させろ。鬼の仮面は俺がやる」
鬼の仮面の元へと向かった一夜に竜我も続く。
「君、一人に戦わせないよ。僕も一緒だ」
「……物好きだな」
「そのお陰で、君は僕と戦える」
川上道場に居た門下生達は天舞音の鏡を介して、家へと送って居た。そして、玲奈は舞を川上家へと連れ出していた。
「……娘と息子が心配ですか?」
ジークのその言葉に五三六は優しく語る。
「あぁ、鬼の仮面とは僕が戦う。九十九家は一夜も行った事があるから、三人で向かって貰う」
「一人でやれるんですか?」
「やるしかない。それが出来なくて一夜の舞の父親を名乗れないからね」
五三六とジークが先に鬼の仮面に向かった一夜と竜我の元に動き出した時には一夜と竜我は鬼の仮面と対峙していた。
「そんなに急いでどこに向かう?」
一夜のその声に鬼の仮面は足を止める。
「……九十九一夜だな?川上舞はどこだ?」
「俺の家庭事情を知っているみたいだな?九十九、川上と分けるのは俺たちの家庭事情を知っている奴だけだ。それで何の用件だ?」
「川上舞はどこに居る?」
「妹を執拗に求める奴に兄が答えると思うのか?」
「お前と人質に取れば、妹は現れるのか?」
「現れねぇよ。そろそろ、お前は俺を捕らえる事なんて出来ねぇよ」
「どのみち、川上舞を庇う者の殺害は許可されている」
鬼の仮面を付けた男は鬼の仮面から、金棒を出現させる。
「……体内からの出現出なく、仮面から?」
神器は体内しか宿らず、神器は適合者でしか使えないのが常識である。一夜と竜我の目の前で、起きていた。
「……お前達の持つ常識がこの世の常識では無い。人の持つ常識等、常に越えるのが、この世のルールとなる。お前達の常識で、お前の力で、お前の戦いで、この戦場でどう戦う?どう逃げる。どれも満足に出来ると思うな!この獄卒を束ねし金棒は甘く無いぞ!」
鬼の仮面を付けた男は獄卒を束ねし金棒を地面に叩きつけると、赤く、どす黒い炎が周囲を包み込む。
「一夜、動くんだ!」
一夜の能力、傍若無神は一夜が動き続ける限り、一切の攻撃や影響を受けない為、一夜の戦闘方法は常に動き続ける事になる。それを知っているからこそ、竜我は一夜に動く事を告げる。
「分かってる!」
一夜は炎を気にすることも無く、走り続ける。
「……炎が燃え移らない?熱さを感じていない?……なるほど、君の持つ力は私の持つ常識を凌駕するか」