第959話 聖天激戟(ホーリー・テンペスト)
「……何者にしろ。ここで終わらせる」
成田は重力操作を発動させ、男の周辺の重力を操作して、男の周辺を押し潰す。
男は何事も無く、立ち尽くしていたが、男の周囲に居た者は重力に負け、床へと倒れ込む。
「呂布さん。助けて!」
男の周囲で倒れるチーム[ゼロ]のメンバーが男のを呂布と呼ぶ事を紫音は疑問に抱く。
「……代々、呂布の名を名乗り続ける一族が体に宿し続けた神器を奪ったのは推察がつくけど……何故、呂布と呼ばれているんだ?」
紫音のその疑問には誰も答えられなかった。少なくとも、紫音の隣に居る氷、湊斗には答えようも無い。
「……軟弱者どもめ」
倒れ込む者達を貶しながらも、男は手にしている聖天激戟を天に掲げ、槍を光の竜巻を覆わせる。すると、重力は一瞬にして、元に戻し、倒れ込んでいた者達は起き上がる事が出来ていた。
「ありがとうございます。呂布さん」
「退け、脆弱者ども」
呂布と呼ばれる男は成田に向かいゆっくりと歩い始めると、聖天激戟を成田に向け、投げつける。その早さからして、成田は避けるよりも重力操作で槍を退ける事を選んだ。
しかし、光の竜巻を纏った聖天激戟は重力操作の影響を全て、吸収すると成田の首を跳ねた。
「惰弱め。この程度で抗うとは……大人しく、首を差し出す潔さも無い。救い難い男よ」
呂布と呼ばれる男が成田の首を跳ねた瞬間、海斗、山瀬は呂布と呼ばれた男に襲いかかろうと動き出すが、海斗は動き出した直後に通り抜けが伸ばした手が体をすり抜け、心臓に手がかかる時に、通り抜けは自身の手を具現化して、羽田の心臓を抜き取ると、通り抜けはその心臓を放り投げる。
「羽田先生!」
紫音のその叫びと共に、城山の原型崩壊をまともに受けた山瀬も倒れ込む。
「……海神の王剣は回収しておけ。その三人は殺せないで良いんだろう?デュラーク」
通り抜けはデュラークに確認を取ると、笑顔で答える。
「はい。間違いありません」
デュラークのその言葉を聞いた通り抜けは壁をすり抜けて、この場から離脱していく。
「我々も戻りましょうか」
通り抜けの離脱を確認したデュラークはチーム[ゼロ]のメンバーに通達し、皆ここからの離脱を始める。
「……どうせ、廊下は氷で埋め尽くされているんだろ?俺が壊すぞ」
「ええ、お願いします」
城山は氷で埋め尽くされた廊下を原型崩壊で破壊していく。
そんな城山に続いて、チーム[ゼロ]のメンバー達も続く。
そんな中、呂布と呼ばれる男は聖天激戟を回収して、気がつく。