第956話 作戦開始
「理解している。だからこそ、チーム[ゼロ]と[レジスタンス]をぶつけさせる」
「何を言っている?」
「俺達二人ではチーム[ゼロ]を相手にする事は出来ない。だからこそ、チーム[ゼロ]を[レジスタンス]の本拠地に誘導する」
「何故、[レジスタンス]なんだ?」
「チーム[ゼロ]に対抗出来るのは限られているが、[レジスタンス]なら、問題無い」
海斗がチーム[ゼロ]を[レジスタンス]と衝突させる事に反対を続ける中、三人は別空間内に潜みながら、[レジスタンス]の本拠地と同じ座標で留まっていた。
これにより、成田、山瀬の計画通りに、チーム[ゼロ]は[レジスタンス]の本拠地に移動を開始していた。
「……ここに居るんだな?デュラーク」
城山は[レジスタンス]の本拠地を目の前にして、最後に確認を取る。整った容姿に、凛々しい佇まいの少年は頷く。
「間違い無いよ」
デュラークのその言葉を聞き、城山は指同士を滑らせ、指を鳴らすと、そこから発生した衝撃波は[レジスタンス]の本拠地にその衝撃波を直撃させる。
これは城山の能力である原型崩壊が発動した事によるものである。原型崩壊は城山の全身から放たれる衝撃波に触れたものの、崩壊させるものであり、この衝撃波に触れた建物物は確実に崩壊されるだろう。しかし……
「……何?何故、破壊されない?」
[レジスタンス]の本拠地は武田の異能、創造神の物質によって、造られた建物であり、如何なる攻撃をもってしても、破壊する事は不可能である。
「……武田信玄によるものだろう。転移魔法で中に侵入しようにも、結界が邪魔だね」
「なんだデュラーク。その口振りは、転移魔法が使えるのか?使えないのか?」
「一時間もあれば、[レジスタンス]内の結界とこの座標に逃げた二人の脱獄者の空間も裂けそうだ」
「三十分で済ませろ」
「早めに済ませたいのは皆同じだ。待ってくれ」
デュラークは[レジスタンス]に施された結界を解除を始める。そして、デュラークの告げた一時間で[レジスタンス]の結界と神奈川支部の地下施設から脱獄した者達が居る空間も裂く事に成功した。
「……もう侵入出来ますよ」
「良し!」
デュラークのその言葉を聞いた城山は即座に手をドアに触れ、原型崩壊を発動させ、ドアの破壊を試みる。
「ちっ。この建物は全部創造神の物質で造って居るのか。破壊出来ねぇな」
「破壊する必要は無いですよ。転移魔法で侵入出来ますし、何よりも通り抜け様は壁をすり抜けて行かれましたよ」