第951話 [レジスタンス]の窮地
[レジスタンス]の施設のサイレンが何の前触れも無く、鳴り始める。
「侵入者か?」
忠義はサイレンから侵入者の存在を疑う。
「……そう簡単にここには入れない。俺の異能、創造神の物質で造られたこの建物は破壊不能だ」
「どうだろうな?破壊不能って言うのも疑わしい」
「破壊系統最強と言われるマーク・レベレスタでも破壊は出来ない」
「だったら、このサイレンは何だ?」
忠義にそう尋ねられた武田は直ぐに返答出来ずにいた。
そんな武田を見かねて、エンマが割って入る。
「直接は入れないだろう。空間内における座標と現実における座標が一致したのだろう。ここには結果がしてある。簡単には破れないものがな」
「……そうか。俺はもう帰る。後の処理はやっておけ」
忠義は敵の侵入が来るのは、時間の問題なのは明らかであり、ここに居れば敵と遭遇し、戦闘になる事から忠義は魔法陣を利用して、転移魔法でその場から離脱する。
「……で、これからどうする?」
一夜はこの後の事をその場に居る者に確認を取る。最初に口を開いたのは、エンマだった。
「悪いが、今日は山梨支部に戻らせて貰うよ。能力的にも集団には向かない」
エンマの言う通り、閻魔大王はエンマの背後に上半身のみの閻魔大王を出現させ、能力、異能における炎の最大の熱量と温度を誇る。ただし、罪人だけに効果があり、その罪によって、ダメージ量も変換するが罪の基準は曖昧なものである。そして、味方が近くに居る状況では味方を巻き沿いにする事になる為、今回の状況では明らかに巻き沿いにするため、エンマは[レジスタンス]の本拠地から離れる事になった。
「俺も今回は帰らせて貰う。東京本部に来た以上、久しぶりに会う事にする」
一夜のその言葉に舞は嬉しそうに一夜に近寄る。
「お兄ちゃん。お母さんに?」
「あぁ」
「私も行くよ」
舞が[レジスタンス]の本拠地を離れる事を告げると共に武田も一夜の元に移動していた。
「木山に頼まれたからな。川上お前の護衛をする」
「ありがとうございます」
「言っておくが、川上玲奈の所には佐々木勇治が護衛に当たっている」
「佐々木勇治?」
聞き慣れないその名前に舞が首を傾げていると、一夜は補足し始める。
「佐々木家の次期当主だ。当主になれば、小次郎の名を襲名する男であり、人間離れした秘剣を代々継承し、継承した者は新たな型を造っており、現在は三十近くの技があると言われている」
「それじゃ、お母さんは大丈夫だね」
「あぁ、行くか。[レジスタンス]の事は病院に着いた後に、佐々木をこっちに向かわせる」