第950話 [レジスタンス]の本拠地
四月十三日
廉が一日有栖川天舞音マネジャーを務めていたその頃、[レジスタンス]の本拠地である東京本部では、新たに[レジスタンス]の総帥となった廉に対する話し合いが行われていた。
「俺は認めねぇよ。木山廉が総帥になる事を」
一番最初にそう切り出したのは[レジスタンス]の北海道支部を任されている男、烏丸忠義であった。
黒髪に膨大な魔力量を所持する男として、世界にもその名が知られる男である。
「……頭ごなしに否定するのは、関心しない」
忠義のその意見に反論したのは、赤髪の青年であり、廉とは顔見知りの檜山エンマだった。
「相変わらず、身内には甘いな。檜山エンマ」
「身内は関係無い」
「どうだかな。木山家と檜山家は代々協力関係にある一族同士、屋敷も隣同士だ」
「それは過去の事だ。屋敷もなければ、今まで木山家とは協力関係では無かった」
「……で、こいつに賛同する奴は他に居るのか?」
忠義のその言葉に反論したのは、黒髪に筋肉質な男が立ち上がる。
「武田信玄。木山廉への信仰心は相変わらずだな」
「黙れ!木山廉の何が分かる?」
「何も知らねぇよ。知った奴は庇うだろう。だからこそ、何もかも知らぬ俺が言ってやる。総帥にこれからなろうとする奴が、春夏冬秋人は守れない。庄司は殺される。そこまでされて、敵は逃がす、敵を横取りされる……この失態の責任はどう取る?」
「木山一人に押し付けるな。あの場には俺も居た。責任は俺にもある」
「……そこまで信仰心とはな。で、他には居るのか?」
その言葉に一人を除いた全員が立ち上がる。
「雲雷お前もか?」
金髪の男性が立ち上がった事に関して、忠義は正直驚いていた。
「廉の兄貴は信用するに値する」
「……残りはチーム[アブノーマル]のメンバーとそのお仲間か。お前は立っていないな。一夜」
忠義はその場で唯一立っていないメンバーを名指しする。
九十九一夜、黒髪のこの男性はチーム[アブノーマル]のメンバーである川上舞の実の兄である。
「……俺がどうするかの前にここに来ていないメンバーから預かった伝言を伝えたい。流島四郎はどっちでも良いとの事、長谷川空は多数の意見に賛成するとの事です。残り、五人居ますが過半数は超えて、木山廉を指示するみたいですね」
「……そうかよ。で、お前は」
「どっちでも良いが、妹が木山廉に付くなら、取りあえず木山廉に付くとする」
「そうか。今は亡き親友の言葉と、木山廉の言葉を重ねたか」
「……あんたには関係無い」