第948話 搾取
黒影の槍で近づいていた八重は玲愛の隣で影の中から外へと脱出する。
「殺すのは、魔合混沌槍が外に出ている時にしてくれる?」
八重のその発言により、八重の目的を理解した玲愛はそれに同意する。
「……琴音。あのまま、固定で頼むわ。皆で総攻撃を仕掛けましょう。防御の為に魔法陣のみならず、神器も使う筈だから」
リーダーである玲愛のその指示によって、チーム[ハンド]のメンバー達は松元への総攻撃の準備を始める。
そんな最中、魔合混沌槍を体内から出現させた松元は自身と建物に覆われていた青い雷を槍に吸収させ、自由の身となった松元は逃走を始める。
「……私一人で殺るわ」
八重は影の中へと入り込むと、松元を追いかけていく。
松元に追い付いた八重は影の中から体を出現させ、自身の影を黒影の槍を松元自身ではなく、松元の影に投げつける。投げられた黒影の槍は松元の影に刺さると、松元と八重の影が繋がる。
「もう、逃げられないわよ。手にしているその槍を貰うわ」
「お前の能力の性質状自身の影を槍に変えるものだ。影に入る際や影を利用する時にも、槍を影に変えるしかなく、槍を手にする場合は影を槍に変える必要がある。魔合混沌槍は影すら、吸収する。吸収されない様に対策しながら、戦えるのか?」
「私の影を吸収出来れば、勝負あると考えた?だとしたら、お粗末ね」
八重の自身の影は肥大させていき、影から無数の黒影の槍を出現させる。能力者を相手にするなら、能力向上、覚醒はあると思いなさい。私の場合は能力向上よ。黒影の槍は無影虚無となり、同時に両方の能力を使用出来る。
「……無影虚無とは影を無限に増やす事が出来る様だな」
黒影の槍が八重の影を利用して、造り出される槍を無限に出現させている事から、影も無限であると仮説を立てた。
「そうよ。それを知って、対処出来るのかしら?」
八重は隠す事も無く、事実を告げる。
「それなら、対処出来る。お前は魔合混沌槍を知らなすぎる」
松元は手にしていた魔合混沌槍を地面に突き刺し、地面、影を吸収し、強化を始める。
「……お前の影はどこまで増やせる?魔合混沌槍は無限だ!」
八重は地面に突き刺さった魔合混沌槍を見て、行動を変換させる。
「地面に突き刺したこの状況では、地面と刺さった箇所の影のみの吸収みたいね」
八重は魔合混沌槍から離れた箇所の影から黒影の槍を出現させ、影を伸ばし黒影の槍を松元に突き刺そうと、していた。
松元は体内に埋め込まれた魔力を保管してあるタンク内の魔力を解放させる。




