第944話 チーム[ハンド]の襲撃
廉は咄嗟に炎神の魔武器を発動させ、炎神の魔剣を手にする。
廉は地面から伸びる手を切りつける。
「簡単に破壊出来たな」
「それは神の義手が変化させた物質そのものであるから。地面を利用して、造られたその手は地面そのものよ」
廉の疑問に天舞音は直ぐ様答える。そんな天舞音は警戒心を強める。
「出たわね。荒川玲愛」
金髪に腰には幾つものキーホルダーを所持したこの女性こそ、チーム[ハンド]のリーダーである。そのリーダーの登場は廉、天舞音、松元の三人が萎縮してしまう程の威厳があった。
「遅かったわね。玲愛」
「お待たせ、八重。どう?」
「浴衣が春美の回収に成功したみたいよ」
「そう。それじゃ、こっちの仕事をしましょうか」
玲愛はゆっくりと、天舞音に近づいていく。
「……私達の誘いは断るのね?」
「ええ、聞かなくても分かるでしょ?」
「だからこそ、春美を送って、貴女を拐う様に頼んだんだけど、失敗したわね」
玲愛は笑顔を天舞音に向ける。
「何が可笑しいの?」
「貴女とは一度、話したかったのよ」
「話す事は無いわ」
「連れていって、話すわ」
動き出した玲愛に対抗するように天舞音は周囲に鏡を張り巡らせる。これにより、鏡に関する事は何でもすることが出来、天舞音の優勢となる。相手が玲愛でなければ
「私には物質は無駄!」
玲愛は神の義手を発動させ、周囲にある鏡を手へと変化させる。
「手の形となっても、鏡は鏡よ。私の鏡の国の支配者は有効よ」
「残念だけど、貴女の思惑は叶わないわ」
鏡で形付くられた開いた手はゆっくりと、閉じ、消滅する。
「私の神の義手が適応した時点で、私の管理下よ」
「……」
「理解出来たのかしら?貴女は一度、鏡を造らなければ異能を使えない。元々ある鏡を利用して、異能を発動しようにもここにはない。あれば壊すけど……この状況で貴女はどうするのかしら?」
「……やる事は何も変わらないわ」
「そう。残念ね。三人だけでは私は勿論、八重すら倒せないわ」
玲愛のその言葉に玲愛の後ろで待機していた八重が玲愛の隣に立つ。
「私がやる?影の中に引きずり込めば、それで終われるわ」
「そう。そっちの方が早く終われそうね」
八重は自身の影の中へと入り込むと、天舞音へと接近する。
「悪いがこれ以上、近づかせねぇ」
廉は動く影に向け、炎神の魔剣を振るい、地面を破壊する。影の中に入っていた八重は廉の剣の衝撃を自身の影を変化させた黒影の槍で防御する。
「影を使うのはその神器を利用していたのか」
「そうよ。剣士さん」