第931話 マネジャーの不安
「木山君……分かっているわね」
「当てはある条件は貴女しか居ないって話ですよ」
「そう。つまり、天舞音のマネジャーは世界で私だけが許されている」
天舞音も天舞音だが、このマネジャーもマネジャーだなと思いながら、廉は話を聞いていた。
「そんな私が一日だけとは言え、私がマネジャーが出来ない日が来るなんて……しかも、男にマネジャーをさせるなんて、十六夜の三下の奴が脅迫文を送って来たのが、原因よ。そもそも、十六夜ごときなら、私一人でも対処出来るのに、念には念をって言う天舞音の優しさで、私はマネジャーから外されたのよ」
天舞音のマネジャーが今日のみマネジャーの私語とを休みになった原因は理解出来た廉だったが、今日一日廉がマネジャーに付いた理由については未だに謎のままだ。
「とにかく、一日とは言え天舞音のマネジャーをするからには天舞音も守りなさい。マネジャー業で貴方に期待等しない。ただ守りなさい」
天舞音のマネジャーは言いたい事を言い終えると一方的に通話を切った。
「……随分と、変わったマネジャーだな」
廉は天舞音にスマホを返却すると共に皮肉な一言を添えた。
「普通な人間が芸能界で通用すると思うの?」
「それは特殊な才能が必要だろうな……マネジャーは関係無いだろう」
「特殊な才能を持つ者と一緒に居るのに、普通が通用するとでも?」
「……」
「特殊な才能と共に居られるのは、見た目は普通でもそれを管理し、特殊な才能を目の当たりにしても動じず、共に歩ける者でなければ務まらない」
「……それ、俺が出来ると?」
「出来ないでしょうね。それに、貴方には期待していない。マネジャーとしてはね」
「だったら、何で俺をマネジャーに?[レジスタンス]の拠点で皆と交流を」
「マネジャーの話は置いておいて、[レジスタンス]の拠点でに残っても貴方に居場所は無いわ。春夏冬を助ける事が出来ず、庄司は死亡で信頼を獲られると?」
「それは」
「一つアドバス。[レジスタンス]を一気に変えようとせずに一人一人と交流を試みなさい」
「どうゆう事だ?」
「いきなり、表れた者が組織のトップになられても、最初から居た者からしたら、目の上のたんこぶよ。今まで[レジスタンス]は貴方が居なくても何の問題も無く、活動していられたわ」
「俺が居ても居なくても同じって事か?」
「そうよ。それで諦めるの?」
「諦めねぇ。最初はお前だ、有栖川天舞音!認めさせてやる。今日のマネジャー業務が完了したら、認めて貰うぞ」