第924話再会
「お互いに立ち入れませんね」
笑顔でそう告げる湊斗に廉は困った様に苦笑いを浮かべ、四人は玲奈の病室へと向かい始める。
その頃、玲奈の病室には娘の舞とジークが居た。
「良いの?」
「ええ、黄金宝石の剣は元々、玲奈さんの物ですから……最終戦争から回避させる為、やりましたが[レジスタンス]に入れた事によって、僕も自由に動けるので」
「じゃあ私は?」
「……と、言いますと?」
「私の精神も壊して、守ろうとしてくれたんでしょ?」
「余計な事をした様で」
「何で考えを変えたの?」
「春夏冬から木山廉を[レジスタンス]の総帥にすると、言う話を聞いて、僕もチーム[ヴァルハラ]を抜ける事に」
その瞬間、ジークのスマホが鳴り始める。
「すみません」
「うん」
ジークは病室を後にして、スマホに耳を当てる。
「ベルセルクか?どうした」
「お前も予想していた事かも知れないが、報告しておこうと思ってな」
「ブリュンヒルデの事か?」
「そうだ。日本に向かった。お前を殺しに向かったんだろう」
「分かった。暫く、一人になる」
「……お前の弱点は様々な所で露見している。あの親子を人質に取られ、戦えるのか?」
「勿論、一度守ると誓った以上、守りきる」
「用心しろよ」
「あぁ、助かった」
「……勝てるのか?あいつは今、ただの化け物だ」
「……あの霊剣を造り上げる」
「……名百剣の一つを?」
「そうだ」
「しかし、霊剣は現在、その存在が否定されている筈だ。……何か考えがあるな?」
「あぁ、任せてくれ」
管理する神のスパイ活動を終えたチーム[ヴァルハラ]は現在アメリカ軍に所属しており、リーダーであるベルセルクはアメリカ軍の大将の一人となった人物である。そんな人物に心配をかけない様に告げた出任せである霊剣はジークも無理があったと思いながら、再び玲奈の病室へ戻る。
ジークは玲奈の病室の前にたどり着くと、病室から男性の声が聞こえてくる。病室には舞しか居ない筈だが、ジークは直ぐに病室内に居る人物が誰なのか降霊術によって把握する。
「……沢山の見舞い客が来たようですね」
「ジーク」
「……神器を玲奈さんに戻しに来ていただけですよ」
「良いんだな?」
「当然ですよ」
ジークは魔法陣を出現させると、魔法陣から黄金宝石の剣を取り出すと、それを玲奈の胸に置く。
すると、黄金宝石の剣は玲奈の体内へと入り込んでいく。
「少し、二人で話しませんか?」
ジークにそう告げられた廉は二人で病室を後にする。
「僕を狙う刺客が向かっているそうですので、川上舞と玲奈さんをお守り下さい」