第92話 それから
ドレアは少し驚く。玲愛の背中の中心から光が溢れる。
それは少しずつ出てくる。右には憤怒の悪魔の手、左には竜の兵隊の手中心からは光に包まれた大きな手が出てくる。
ドレアの知る情報では理解出来ない状況だ。
檜山エンマは戸惑いながらも炎の裁きの炎の放出される。その炎は真っ直ぐ玲愛に向かっていく。
玲愛は全く動かず、周りに出していた竜の手も防御に使う様子も無い。
玲愛自身の手が悪魔と竜になっているが防御もしないとは怒りで我を忘れているのか?ドレアは様子を見てから動く事にした。
玲愛の背中の中心から生える光に包まれた大きな手で防御をした。
炎の裁きの炎が消えた。
「なるほどね。管理する神が手放したくない理由はこれか」
ドレアは空中で一人納得する。
そう光輝く手こそ神の手、全てを0にするとされた手だ。
ドラゴンの手は固く握られ、回転を始める。
ドラゴンの手は激しい回転をしながら檜山エンマに向かって放たれる。
檜山エンマが行動をしようとした時だった光輝く手が伸びて檜山エンマの体を握る。檜山エンマは直ぐに気づいた。能力が使えない事に……
一方的な戦いだった。
神の手とされる光輝く手に捕まれ、動けずに回転しながらやってくるドラゴンの手を避けることも出来ずに死ぬまで受ける事になった。嫌、死んでも止まる事は無く檜山エンマの原型は残らなかった。
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side:紫音
「それで、どうなったんですか?」
「今や、荒川玲愛はチーム[ハンド]のリーダーをやっているわ」
「北見浴衣は?」
「復活させし神によって元通りよ」
「そうですか」
「これが私の知る全てよ」
「ありがとうございました。廉には喋らないので」
佐倉紫音は会釈をすると川上家を後にする。
「そろそろ、廉には伝えるべきかしら……後、少しだけ……」
川上玲奈は誰も居ないリビングで呟く。




