第919話 乱入のマーク
「そうだ。レヴァンティンの前任者だ。お前みたいに自分の力を自慢したり、酔いしれたりしていない」
「死んだスミスが何だ?」
「俺はあの人を越えるとそう誓った。お前を倒し、それを証明する」
「出来ねぇよ。お前ではなぁ」
アレックスのその言葉と同時に辺りにあった結界は破壊される。
「何だ?この結界なら、アメリカ軍でも一時間かけなければ、破壊出来ない筈だ」
「アレックス、相変わらず愚かだな」
「マーク・レベレスタ。待ってたぜ。少々、想定していた状況とは違うが、お前との戦闘は俺の最終目標だ」
「……では、早く済ませよう」
「調子にのるな。お前のアメリカ軍トップの座も今日までだ」
アレックスは右拳を振るい、その拳圧のみでマークへ攻撃を開始した。
そんな攻撃をマークは仁王立ちのまま、全身から放った衝撃波でアレックスの拳圧をかき消して、その衝撃波はアレックスに直撃する。
衝撃波を受けたアレックスは悟る。マークには勝てないと
(最初はただ憧れだった。マークお前みたいになりたくて、黒髪を金髪に染め、アメリカ軍に入り、大将になれた事でようやくお前と同等に慣れたと思ったに、お前は元帥になりやがって……どこで間違えた?)
マークの一撃を受けたアレックスは地面に倒れ、空を見上げていた。
(……マークには勝てねぇ。世界最強の破壊の申し子と言われる男だ。そのものだ名に恥じない実力と異能を持つ。ずるぜぇ、何でお前だけ、そんなに様々な物を得る?お前は今まで何を得られた?マークになれなくても、お前と一緒に)
空を見上げていたアレックスにマークは近づいていく。
「……ここで終わりだ!」
「マーク。ここでの事は中継されているのだろう?」
「そうだ」
「何の為に?」
「日本人がここに居るものたちが勝てなかったお前には圧倒して、俺が勝つ事に意味があるんだが……この勝利はあまり意味は無いな」
「何だと?」
「ジークフリード・アンサンブルは封印、武田信玄の物質に捕まる始末……残念だ。見ろ!武田信玄の物質は俺の攻撃を受けても、破壊されない。この世のどんな方法を用いてもその物質は破壊されない。そんな事も知らずに、今まで吠えていられたな」
「……さっさと殺せ!」
「そうしよう」
マークは開いた右手の平をアレックスに向ける。
「去らばだ」
マークの手の平から衝撃波が放たれると、アレックスは姿を消す。
「……存在まで消してしまうなんて」
紫音は目の前で起きた光景に戸惑いを隠せずに声を漏らす。




