第918話 チーム[アブノーマル]の猛攻
「二人とも、僕が動きを止める。タイミングを見て、攻撃して」
廉と舞は返事をする事なく、紫音を置いて、走り出す。
(二人とも、僕を信じて走り出してくれた。僕はそれに答えるだけだ!)
紫音は氷神の花畑を発動させ、氷で造られた蕀を出現させると、アレックスの体を縛り上げる。
いつものアレックスなら、紫音が縛り上げた氷なら破壊出来たが、武田の異能である白い物質が残り続け、更にその上から紫音の氷によって、アレックスの動きを止めた。だか、それは一瞬の事だった。
アレックスは体を少し動かす事によって、紫音の氷のみを破壊した。
「……二人とも僕を信じてくれたんだ。頼む、力を貸してくれ」
紫音のその言葉に答える様に、氷で造られた氷月が現れた。
「行くよ」
氷月のその言葉と同時に氷月の力が紫音へと流れ込む。
紫音は再び氷の蕀を出現させ、アレックスを縛り上げた。
「何だ。この黒いオーラは……何だこの感じは」
「ただの氷ではない。未完成とは言え、これは終末の冬だ!」
「あっ?お前ごときが使える訳ねぇだろう」
「分かる筈だ。それは縛られている貴方が誰よりも」
アレックスの動きが止まった所で、アレックスの左側に移動を終えた舞は紅桜をアレックスに向ける。
「どんな攻撃でも、俺には効かない」
「紅桜:不知火型:桜吹雪」
紅桜の特化型の覚醒のその攻撃は紅桜から大量の桜を出現させ、桜を巨大な竜巻の状態で留め、それをアレックスへとぶつける。
大量の桜によって、アレックスの視界は桜に埋め尽くされていた。
「……二人がここまでやってくれたんだ。俺が決めねぇと」
廉はアレックスの正面に立つと、炎神の魔剣を振るう。炎神の魔剣から放たれた炎は桜の花びらに引火する。炎も桜の花びらも消え、未だに紫音の氷は残ったアレックスは目の前に居る廉を見つけ、不機嫌そうに廉を見つめる。
「……氷も花びらも炎も俺には効かない。俺は最強無敵だ」
「そんな訳あるか。人は皆、欠点を持っているものだ。これだけの人間が揃って勝てない相手なんて、居ない」
「居るだろうが、目の前に。神器を破壊され、何事も無く、居られるって事は神器との対話を終えたか。全ては無駄な事だ。俺には勝てねぇ」
「お前は強く無い。強さは自分で語る物ではない。スミスさんは見せてくれた。語るのではなく、示してくれた」
「スミス?」
「スミス・レベレスタ。マーク・レベレスタの叔父に当たる人だ」
「馬鹿か?もうとっくに死んだ……そうか。レヴァンティンか」