第914話猛攻
「木山!ここは精神世界だ。腕で失くなっても、現実世界には影響は無い。見ろ。もう左肩は元に戻っている」
「……同じレヴァンティンなのに、剣と斧だけの違いでここまで差が出るなんて」
「己の力の無さを神器に押し付けるな。同じ神器なら、同じスペックだ」
「……しかし、ここまで差が出るなんて」
「俺とお前の差は戦闘によるものか?考えてみろ。スミス・レベレスタと言う男と木山廉と言う男の違いを考えてみろ」
「俺とスミスの違い?」
「そうだ。それが分からない以上、俺には勝てない。……違うな。分かっても勝てない。だが、それが分からないと俺とは渡り合えないぞ」
「この戦いで見つけます」
「そうだ。ここでしか俺はお前には教えてやれない。ここで存分に教えてやる」
「俺の全てをぶつけます」
スミスの爆炎斧の神罰は地面に叩きつけられると、至る所から火柱を出現させ、その後、炎は空中で留まり、再度の攻撃を可能とし、爆炎斧の神罰に直接触れれば、爆発を起こす事から接近は避けたい所だが、火柱がある事から遠距離での戦闘も厳しい。それらがある事から廉がこの場で戦うには爆発、炎の対処が出来る様な戦闘をしなければならない。廉は全身から黒いオーラを放出させ、炎神の魔剣に注ぎ込む。
「覚醒か」
「今の俺が出来る全て、黒炎神の魔剣です」
「深炎魔神剣だろ?……と、言っても明らかに力不足だがな」
「……今は黒炎神の魔剣です」
「それでも良い。お前の口ぶりからして、これで駄目なら、もう俺と渡り合う事は出来ないと言う事になるな」
「ここで俺は貴方を倒す!」
廉は炎を利用して、高速で移動すると、スミスの背後を取り、黒炎神の魔剣を振るう。スミスは爆炎斧の神罰を地面へと叩きつけ、背後に居る廉の足元から火柱を起こす。廉は黒炎神の魔剣から黒いオーラを放出させ、火柱を吸収する。
「見事だな。だが、吸収は時間がかかるな」
スミスは後ろを向き、廉と対面し、爆炎斧の神罰を構える。
「吸収を止め、逃れても困る。ここで一撃を当てよう」
スミスは空中に留めていた炎の塊を移動させ、廉の背後を覆い尽くした。
「背後は炎の壁、そして、目の前には俺、お前の状況は火柱を必死に食い止めている状態だ。どうする?」
スミスは爆炎斧の神罰を廉目掛け振るう。
廉はスミスの直撃を受ける様にも後方に飛び、炎の壁に衝突することを選ぶ。
「……俺の一撃は切断と爆発の両方を行える。そんな一撃よりも、炎の壁なら、受けるダメージは少ない。良い選択だ。だが、ベストは俺と炎の壁の両方を対処出来れば、文句は無かった」