第904話 登場
「……何でそこまでして強さを求めるんですか?」
「環境がそうさせた……と、言っておこう。レベレスタ家は代々……止めておこう」
「……アレックスって奴との戦闘は避けられないって事は分かりました。何とかしてみます」
「随分とあっさりしているな」
「ジェネシスさんも手伝ってくれるんですか?」
「手伝ってやりたいんだが、俺が参戦すると、マークと戦う事になる。それだけは避けたい」
「分かりました。やってみせます」
「検討を祈る」
ジェネシスは空間の扉を開き、空間を飛び越える。
「話は終わった?」
「紫音。アメリカ軍の元大将のアレックスって奴に勝てると思うか?」
「……どんな攻撃も効かない、圧倒的な攻撃力を持つ化け物って噂を聞いた事があるよ。でも、可能性があるなら、六封魔道具」
「それって魔法の鎖とか、後は……えっと、」
「……確かに魔法の鎖もその一つだよ。魔法、能力、異能を封じる事が出来る魔道具の事だよ」
「だったら、魔法の鎖で縛れば無力化出来るな」
「一般的にはね。アメリカ軍の監獄コキュートスでは冷凍だけでは捕らえられないとして、六封魔道具の全てで封じ込めた囚人が八人居る。今回、コキュートス内の脱走の中にその八人が居なくて安心したよ」
「そんなにヤバイのか?その八人は」
「……世界を滅ぼすのが簡単と言われる実力者だよ。その八人には元管理する神の傘下のチームリーダーだった、人物だよ。何百年も生きている人間も居るよ」
「……そのアレックスって奴の強さが分からねぇな。俺はやるよ。秋人を救わなければいけないが、アレックスを倒さないとそれも出来そうに無い」
「二手に分ける?」
「……そうしよう。でも、どう分けよう」
「……実力が偏らない様に分けられるとベストだね」
廉と紫音のその会話中、雲雷の声が割って入ってくる。
「庄司!」
その声によって、[レジスタンス]メンバーはアレックスの登場と、胸を貫かれた庄司の姿を確認する。
「……レヴァンティンを持っている奴はどいつだ?」
「俺だ」
アレックスのその問いに廉は堂々と告げる。
「お前がそうか。マーク・レベレスタが認めた男って奴は」
「知らねぇよ。庄司さんを放せ」
「……はいよ」
アレックスは無造作に庄司を投げ捨てる。
「これで良いか?」
「……紫音、悪い二手に分ける話はこいつをやってからだ」
廉のその言葉に紫音は否定せず、共に戦う決意をする。
「マークの力も衰えたか。こんな雑魚を認めるとは」
「……本人ではなく、そいつが認めたと言う俺に向かってくるとは、案外臆病だな」