第903話 対面
ジェネシスは何も無い所の空間を開き、一瞬で[レジスタンス]が居るアメリカ軍の本部の近くへ移動を終える。
「ジェネシス・ワーデル」
ジェネシスにいち早く気がついたジークはその人物の名を告げる。
(……気配を消したつもりだったが、ジークフリードの降霊術か。……まぁ良い)
ジェネシスは[レジスタンス]の元へ移動する。
「……少し、話がしたい」
「話だと?」
「マークが破壊した事によって、春夏冬秋人を助けに行こうとしているみたいだが、どんな選択肢を選んでも、[レジスタンス]はアレックスと戦闘する事になる」
「アレックス?何故そうなる?」
「そこまでは見ていない。知りたいなら、見ることも可能だが」
「……つまり、結果としてそれは避けられないって事か?」
「そうなるな。リーダーの木山廉と話したい」
「僕では不満か?」
「不満だ。マークが気にかけ、ジェームズとも関係を持ち、スカーレットも認めたそんな人物に会って、話したい」
「……それが貴方が木山廉と話す理由になってない」
「理由が必要か?なら、理由を用意するが」
「嫌、良い。呼んでこよう」
ジークは廉の元に移動すると、ジェネシスとの間で話された内容を廉に伝える。すると、話を聞き終えた廉はジェネシスの元へ向かい歩き始める。
「あの、話って何ですか?」
「アメリカ軍の元大将の一人であるアレックスが攻めてくる。それを聞いてどう思う?」
「……皆を守る為なら、戦います!」
「そうか。それが仲間を狙われた途端に逃げる事なく、戦い始めた理由か」
「何ですか?それ?」
「……俺の異能はあらゆる扉の解放者で、あらゆる空間や次元等の扉を開く事が出来る異能で少し先の未来の光景を扉を開ける事で見てきた。アレックスと戦うのは回避出来ないが、状況が少しでも変わるなら、マークやアメリカ軍の思惑を狂わせる事が出来ると思ったんだが」
「思惑ですか?」
「あぁ、現在のアメリカは至る所にカメラを配置してある。何故だか分かるか?」
「……カメラで撮影して、何の意味が……アメリカの強さを誰かに伝える為……とか?」
「おおよそは正解だ。世界で配信される。主に見て貰いたいのはシェルターに居る避難している者達にだ。[レジスタンス]が束になっても勝てないアレックスを相手にマークが圧倒的に倒し、アメリカ軍の強さを今一度、世界に伝えようとしているようだ」
「アメリカ軍の強さ?今でも世界一って言われてますよね?」
「あぁ、だが昔の話だ。今はイギリスやロシア、フランス……様々な国の実力が上がっている。それでも、アメリカが最も力があると言われているが」