第902話 パラレルワールド
「変えてやるよ」
「無理だ。俺はもうこの光景も、あらゆるパラレルワールドの世界の扉からお前がもがく行動の全てを見ている。何をしても、俺はその上を行く」
とても信用出来ない様なジェネシスのその台詞だったが、アレックスには直ぐに理解出来た。ジェネシスの異能をもってすれば、それぐらいの事は簡単にやってしまう事は今まで大将として任務をしている時に知れた事だった。
「……これはやりたく無かった」
アレックスは懐からボタンを取り出すとそのボタンを押す。
「助けを呼んだか」
「それを知っていたんだろ?お前なら簡単に止められた筈だ!」
「そうすると、あいつがうるさいからな。逃がしてやる」
ジェネシスは下半身を蹴り、開かれた空間に下半身を入れ、アレックスの上半身の付近の空間に扉を開き、アレックスの体を元に戻した。
「アレックス様」
助けに来たその男性は直ぐ様、アレックスを連れ、転移魔法で姿を消す。
「……これで良かったのか?マーク」
「俺はアメリカ軍の本部に居ると言う情報があるが?」
「……現にお前はここに居る。何故知っていたのかは、わざわざ言う必要は無いだろう」
「……では、俺のアメリカ軍の目的も知ったか?」
「……[レジスタンス]とアレックスをぶつけ、危機的な状況を演出し、お前が全てを終わらせる。茶番だな」
「……で、上手く行くのか?」
「知らん!俺は研究に忙しい」
ジェネシスはふてくされた様にその場から足早に移動する。
「……あの様子から察するに……上手く行くな。木山廉、記憶を取り戻す前で助かった」
マークは知りたかった事を知れ、その場から離れる。そんな中、ジェネシスは一人とある部屋に訪れていた。物が何も無いその部屋で出来る事等は殆んど無いだろう。ジェネシスはこの部屋で、あらゆる扉の解放者を利用して、天井、床、壁、空間に扉を造り、マークの思惑を変更出来る方法を探そうとしていた。
「……やはり、無理か」
どれだけ、状況や環境、人数を減らしても、結果は変わる事は無かった。
「……全てはマークか。あいつを除外出来れば、済む話だが、マークの除外は俺を含め、協力者達の手を借りても無駄。……諦めるか」
ジェネシスがこうして、マークに関して動きたがジェネシスがマークの行動を変えられた事は一度も無い。
「……[レジスタンス]と会うか」
アメリカ軍とマークが仕組んだ事を変えられないと悟ったジェネシスはこれから起きる事を伝える為、[レジスタンス]メンバー達と会う事を決める。