第898話 あらゆる扉の解放者(ゲート・リベレーター)
ジェネシスは床、天井、壁や何も無い場所に扉を出現させる。
「……幾つも扉を出したな。で、この扉はどこと繋がっている?」
「言っても良いが、君の頭では理解出来ないだろう」
「……では、見せて貰おうか」
アレックスはジェネシスの元に一瞬で移動すると、直ぐ様殴りかかる。
ジェネシスは自身の近くにあった扉を自動で開きそこから飛び出した黒い塊を手にする。
(まずいな)
それを目にしたアレックスは慌てて、ジェネシスとの距離を取る。
「ブラックホールって奴か?」
「……何も考えず、攻撃しか出来ない奴だと思ったが、回避するとはな」
「ブラックホールをどうやって手にしている?」
「俺が所有する空間の物は全て俺がカスタマイズしている。このブラックホールは俺には影響を及ぼさない。そして、いつでも、お前を呑み込む事は出来る」
「……それをしたら、この研究所はどうなる?」
「調整は出来る。それに俺の能力があれば、どの研究所でもやり直せる」
「……はぁ。最初に潰す大将がお前だと、今度が大変だな」
「今度は無い。ここで終わりだ」
「やってみろよ」
アレックスはジェネシスが小型のブラックホールを手にしているにも関わらず、殴りかかる。勿論、ジェネシスはアレックスの一撃を手にしているブラックホールで防御する。ブラックホールに呑まれたアレックスの存在は消え、ジェネシスは全ての扉を消滅させる。
「……化け物だな」
ブラックホールに呑まれた筈のアレックスの目にして、ジェネシスはそう呟く。そんなジェネシスの言葉を受け、アレックスは悲しそうな顔をし、ため息を溢す。
「吸い込まれて終わりだと思ったら、体が引き裂かれるから驚いた。人間扱いしろよ、傷つくよ。俺だって、人間だ。と、言っても俺はこの世界の頂点に居る男だ……そう思うのも頷けるよ。ジェネシス!お前はここで殺す!」
アレックスの全身からエネルギーを放出させる。
「……分かりやすいパワーアップだな」
「シンプルで良いだろう?」
アレックスはジェネシスの元に一瞬で移動をすると、ジェネシスの右手に炎の塊を手にしている事に気がつく。
(なんだ……これ?)
アレックスが炎の塊を見ているその時、ジェネシスはその炎の塊をアレックスに投げつける。その瞬間爆発的なエネルギーがアレックスを襲う。
しかし、その爆発には建物やジェネシスには何の影響を及ぼさないものだった。
「やはり、化け物だよ。ブラックホールに呑み込まれ、ビッグバンの威力の一撃を直撃して、無事とは」