第891話 刻まれし刻印
秋人が放った悪霊の様な黒いオーラはノアが放った黒炎の魔法陣の様なものと激突する。
秋人の悪霊の様な黒いオーラは封印されると共に、姿を消し、黒炎の魔法陣の様なものは秋人へ接近していた。
秋人の足では到底避ける事が出来ないのは、誰の目から見ても分かる程だった。そんな秋人の目の前に魔法陣が出現する。秋人はジークが出現させた魔法陣へと飛び込む。転移魔法によって、回避に成功した秋人だったが、秋人が飛び込んだ魔法陣が黒炎の魔法陣の様なものに接触すると、ジークが出現させた魔法陣は封印され、ジークが秋人を出現させる為、用意していた魔法陣までもが封印される。
「……何でもかんでも封印か。……厄介だな」
ジークがノアの異能の厄介さを改めて、理解していると、ノアは巨大な刻印を配置し、黒炎烙印竜の姿となっていたノアは本来の姿に戻りその場から離れていく。
「……何だ?春夏冬を封印した途端に……まさか、狙っていた?」
ジークは慌てて、逃走するノアを追いかけようとするが、ノアを追いかけるには目の前に存在している巨大な刻印を対処しなければいけないが、触れた途端にそのものの、身体中に黒炎が刻まれ痛みに襲われ、魔法、能力、異能の使用が出来なくなる。そして、秋人の存在が封印された事もあることから、触れる事すら出来ない為、ジークはその場に立ち尽くす。
「……春夏冬を封印することに何の意味がある?」
「ジークフリード。兄貴は何処だ?」
雲雷に話しかけられた事によって、ジークに振り返り、チーム[ダイヤ]の全ての人間の拘束に成功した事を知る。
「おい!聞いてるのか?兄貴は何処だ?」
「……連れ去られた」
ジークのその言葉を聞いた雲雷は目の前にある黒炎の魔法陣の様なものがあるにも関わらず、助けに動こうとする。しかし、それをジークは許さなかった。
「放せ!」
雲雷は捕まれた手を振りほどこうとしたが、ジークが放す訳もなかった。
「……これに触れれば、能力は封じられ、身体中に黒炎が刻まれ、激しい痛みに襲われる。そんな体になって、助けに行けるのか?」
「だったら、どうすれば良い?何故、兄貴は連れ去られた?」
「……チーム[ダイヤ]の全員の制圧が完了しているなら、一旦集まり、現状を確かめよう」
ジークの提案によって、[レジスタンス]のメンバーは一ヶ所に集まっていた。
「……チーム[ダイヤ]について、今更話す事なんて無い。今は、連れ去られた兄貴のどう助けるかだ!」