第890話 黒炎烙印竜(エンブレム・ドラゴン)
「……あの竜の左腕だけ注意しておけば、問題無さそうだな」
「あぁ、だが、掠めただけで、刻印は身体中に刻まれる。対処法は回避だけだ」
「……あの竜に加え、チーム[ダイヤ]も居る。後方に居る奴等にも手を借りるか?」
ジークのその言葉に秋人は直ぐ様返答する。
「駄目だ!リーダー達はまだ戦闘をさせる訳には行かない」
「実力はまだまだだが、戦力として数には十分に入れられる」
「確かに、リーダー達の実力は十分だ。だが……」
「要らぬ心配だな。同じ組織に居るにも関わらず、蚊帳の外に追いやる事が仲間だと?」
「……言いたい事は理解している。しかし、危険な事はさせられない」
「……チーム[ダイヤ]の何人かは向こうに行ったのは理解しているな」
「数名だけだ。これ以上は行かせるつもりはない」
ノアが一度黒炎の魔法陣の様なものを放出した後、避難したチーム[ダイヤ]は再び姿を表す。
その瞬間、轟音と共に大量の雷が放たれる。その威力はチーム[ダイヤ]の十三人を同時に倒す程の威力だった。この一撃は雲雷の能力であり、対内に宿った神器、雷鳴雷轟によるものである。
雷鳴雷轟は触れたものを吸収し、ダメージを蓄積を続け、雲雷の意思で蓄積されたダメージを雷に変換し放つ事が出来る。その際、轟音が響き渡る。現在放たれたその一撃は轟音によって、適合者である雲雷以外の周りに人間の殆んどが鼓膜が破れる程であり、皆防御よりも耳に手を当てているのが、大半であり雲雷の一撃は誰も避ける事は出来ていなかった。
「……今の内にさっさと片をつけるか」
雲雷は轟音によって、動けずに居るチーム[ダイヤ]メンバーに峰打ちで倒していく。
「……立花の奴、もう半数は倒したな。元リーダーとしては素直には喜べないな」
「ジーク、無駄口は良い。チーム[ダイヤ]のメンバーは庄司と雲雷に任せる。俺とジークはノアをやる」
「……無策で行くつもりか?」
「状況を見て、対策し、対処していく。それで終わる話だ!」
秋人とジークの二人は黒炎烙印竜の姿となっているノアの元へと向かい走り出す。
「……何人来ても、私の敵では無い!」
ノアは|黒炎烙印竜《エンブレム・ドラゴン≫の姿のまま、左腕を突き出す。それと同時に指や手の無く、刻印を刻むだけに存在している左腕から黒炎で魔法陣の様なものを連続で放出させる。
秋人は両手から黒いオーラを放出させると、それを悪霊の様な姿に固定すると、それを漂わせる。その悪霊の様な黒いオーラは物質を吸収するものであり、秋人はこれでノアが放った黒炎に燃えた魔法陣の様なものを吸収出来るか試みる。