第889話 ノア・ストライク
ノア・ストライク。イギリスの最強部隊チーム[円卓の騎士団]の傘下チーム[ダイヤ]の副リーダーを務めている女性。秋人が現れなければ、確実にノアがリーダーになっていたと言われる実力を持つ人物であり、秋人が現れても尚、彼女がリーダーに相応しいと言う声が幾つも、何度もあったものの、エリザベス女王の一言によって、その声は揉み消された。
「……来たか。ノア」
秋人は今まで現れなかったノアの登場に警戒心を強める。そして、ノアの登場によって、互角だった戦場の均衡は崩れ去るは目に見えていた。
だからこそ、秋人はノアと一対一で戦う事を決め、秋人は他のチーム[ダイヤ]のメンバーとの戦闘を止め、ノアの元へと向かっていく。
「……無駄!」
ノアは全身から放出される黒いオーラに包まれると、黒炎烙印竜の姿へと変貌する。五メートルは超える黒竜の左腕は左腕の役割を全くしない様な刻印を打つだけに存在しているかの様だった。実際、その左腕が巨大な刻印だけが特殊的な竜とも言える。
ノアはその左腕を前方に突きつける。そこからは黒炎に包まれた魔法陣の様なものが前方に放たれる。それと、同時にチーム[ダイヤ]は撤退する。
「……逃げろ!」
秋人は今までノアが今まで見せてこなかった黒炎烙印竜を目にして、動揺していたものの、冷静な判断を下す。
黒炎の魔法陣の様なものが、ジークが出現させていた大仏に接触すると、大仏は姿を消し、逃げ遅れたチーム[ダイヤ]のメンバーは黒炎の魔法陣に接触すると、体中に黒い炎が刻まれる。
「あぁ、痛い……ノ、ノア様。解除を」
黒炎の魔法陣の様なものに接触した青年は斑点の様に体に浮かび上がった黒炎を払う様な動作をするものの、もがき苦しむ事しか出来ず、倒れても尚、転げ回っていた。
「……これがノア・ストライクか。聞いていた情報通りだな。嫌、それ以上だな」
ジークは一人の青年と、ジークが出現させていた大仏が消失した事によって、ノアのおおよその実力を把握する。
「……あの竜の左腕から放たれるものは全て回避は決定的だな。受注生産、降霊術を同時に消し去るとは、それに加え、僕の所有する魂まで消失している。それに加え、人体に接触した場合は身体中に黒炎が刻まれ、苦しみ様だな。僕の見解はどうだ?春夏冬」
ジークのその問いかけに秋人は暫く考え込むと、纏まった考えをジークに告げる。
「……まず、魂は消失していない。封印に近い状態だと思う。そして、魔法、能力、異能も封印されるのだろう。現にジークの能力、魔法は封印され、大仏は姿を消した。人体に接触した場合だが、身体中に黒炎が刻まれ、魔法、能力、異能までもが封印される……今分かるのは、これぐらいだな」