第882話 レジスタンスの情報
「……チーム[バベル]は撤退を始めた様だ」
ジェームズは骨から得た情報をマーク、総指揮官に伝える。
「そうか。なら、追う必要は無い。後は、チーム[ダイヤ]とエドワードに体を操作されたアメリカ軍の兵に加え、裏切り者のアレックスをやれば終われそうだな」
マークの言う様にアメリカに残る敵組織はそれだけだが、チーム[バベル]を見逃す理由は全く無い。
「チーム[バベル]を見逃すのか?」
「これ以上追ってどうなる?奴等はアメリカと対峙し、逃げた弱者だ。国民達もそう見えているだろう」
「シェルターやアメリカ軍の避難指示を聞かなかった者がそれを聞いて素直に聞き入れるか?」
「映像は見せてある」
「見せて、どうする?」
「直ぐに分かる。[レジスタンス]の情報はくれてやる」
「マーク、何故君が知ってる?」
「早く、木山廉にその紙を渡してやれ、手遅れになるぞ。春夏冬秋人はチーム[ダイヤ]を殺せるかな?」
「……木山廉やその仲間も無理だ!」
「……じゃあ、お前が手を貸すか?」
「それをアメリカ軍が了承するのか?」
ジェームズのその言葉を総指揮官は否定する。
「駄目だ!大将であるお前が、私の、総指揮官であるこの私の命令でも無い行動を許すと思うのか?」
「……それで、再び国立図書館の警護に戻れば良いですか?」
「そうしてくれ」
ジェームズは本部から出ると、マークから受け取った紙を廉に渡す為、本部から少し、離れた場所に向かっていた。
「……国立図書館の警護は良いのかしら?」
スカーレットはジェームズを見るなり、警戒心を強めながら、近づいていた。国立図書館で警護を務めていたジェームズがここに居る事にスカーレットはジェームズの姿をした別人の可能性もあるため、その確認も含めて、スカーレットはジェームズの目の前に立ち尽くしていた。
「警護は残してある。本部の警護はどうだ?」
「暇よ。わざわざ、ここに攻め込む愚か者は居ないでしょう」
「……チーム[バベル]はアメリカから離れようとしている。しかし、エドワードが操作している者がどう動くか分からない。通常の思考なら、アメリカ軍本部を狙う事は無いだろうが、だが、操作されている人間にはそれは関係の無い事だ」
「そう。で、ここには何を」
「木山廉に会いに」
「彩美と一緒に居たわね。そこよ」
スカーレットは廉の居る方向を指差し、それをジェームズに伝える。
「助かる」
ジェームズはスカーレットに感謝を述べると、廉が居る場所まで移動する。
「これがレジスタンスの情報だ」
ジェームズは一枚の紙を廉に手渡す。