第879話 レジスタンスの動き
[レジスタンス]の情報をジェームズに頼み、廉達はアメリカ軍本部から少し離れた場所で待機していた。そんな中、廉とはぐれた[レジスタンス]のメンバー達は
「木山廉!」
筋肉質で大柄なその男の叫び声は辺りに居た者なら、聞こえる程の大きさであるが、その人物が近くに居なければ、関係の無い事だった。事実、廉は現在、アメリカ軍本部付近におり、その男が叫んだその場所はアメリカ軍本部に届く訳も無い。
「武田さん。もう止めましょう」
黒髪の少年はこの場に置ける年長者である武田信玄に躊躇なく、口を出せる立場である事が伺えた。その少年はイギリスで廉と出会うまで[レジスタンス]のトップに居た男、春夏冬秋人である。
「このまま、木山廉を探さずにどうする?」
「勿論、リーダーは探します。でも、声を出す必要はないと言っているのです。声を出せば、敵にもこちらの居場所を特定される事になります」
「しかし」
「リーダーは今、一人です。敵を寄せ付け、リーダーが多くの敵と交戦することを良しとするなら、止めませんが」
「……そうだな。声を出さずとも、探せるしな」
「はい」
秋人は武田の説得を終わらせると、残りの[レジスタンス]メンバーの元に向かう。
「すみません。僕のせいで木山さんを」
「気にしなくて良い。むしろ、転移魔法をあのタイミングで使用していなければ、リーダーの命に関わっていた」
「……しかし、僕の転移魔法に長けていれば、リーダーを飛ばすことは無かった」
[レジスタンス]のメンバーの一人、庄司春樹は魔法を扱えるものの、使える魔法は簡単な転移魔法、ものを庄司が所有する空間に閉まっておく、空間魔法のみである。簡単に言ってしまえば、魔法の扱いが極端に出来ない男である。その為、その短所を隠す為に、重火器や体術を極めた男であるが、相も変わらず、魔法の扱いは相も変わらずの状態である。
そして、そんな庄司の転移魔法によって、廉は遠くに飛ばされていた。
廉に集中砲火が浴びせられそうになった事によって、庄司は咄嗟に転移魔法を使用したものの、咄嗟だった事もあって、座標等はでたらめであり、転移魔法で飛ばした庄司本人でさえ、廉を何処に飛ばしたのか把握出来ていないのが現状である。
「兄貴、どうするんですか?俺達を襲った連中は兄貴がイギリスに居る頃の仲間何ですよね」
その場に居る最後の一人、立花雲雷のその言葉にかつてリーダーを務めていた秋人も混乱していた。
「そうだ。だからこそ、気の緩みがあった。その俺の油断がリーダーを危険に晒す事に繋がった」
「廉の兄貴を探すのは勿論ですけど、チーム[ダイヤ]はどうします?」