第876話 アメリカ軍本部
氷からコキュートスであった事を聞いた廉の一言めは
「……元々は神器の異能力者だったのか?」
「そこかよ。それ以外にもあるだろう」
「いや、紫音が神器持ちなんて思えなくて」
「……で?何でお前がアメリカに居るんだよ」
「[レジスタンス]に居る春夏冬秋人の元だけど仲間がここに来ているんだよ。だから、俺達はアメリカに来たんだ」
「俺達?」
氷は廉の周りを確認するが、廉が誰かと一緒に居る事は目にしておらず、上空から地上へと降り立った時もアメリカ軍の大将の一人であるジェームズと一緒に降りたが、アメリカ軍の大将を務めているジェームズが[レジスタンス]に所属しているとは思えず、氷は首を傾げていた。
「……はぐれて、一人になったんだよ」
「そう。で、これからどうする?」
「アメリカ軍の本部に向かおう」
廉のその一言に紫音は難色を示す。
「簡単には行けないよ。アメリカ軍に所属していても、入れる者は限られると言われる。魔法要塞と言われる建物だよ」
紫音が言う様にアメリカ軍本部は魔法要塞と言われ、世界中に知れ渡る鉄壁の要塞と言われている。アメリカ軍本部の場所は様々な情報があり、何処が本当の情報なのか他国の人間なら、直ぐは分からないが、アメリカに住まう者にはその日の本部の場所を伝えられる。毎日場所を変えるアメリカ軍本部は敵の攻撃に対して、今まで逃げた事もないと言われ、毎日変わるアメリカ軍本部は有名な観光地にも本部を置く事もある。
魔法要塞と言われるアメリカ軍本部には何重にも魔法陣が描かれており、如何なる攻撃を無力化する事に成功しており、アメリカ軍本部を破壊するには内部に侵入する必要があるが、そう簡単に入れる訳もない。
外にはアメリカ軍の猛者達が警護している事に加え、アメリカ軍本部周辺は魔法、能力、異能がほぼ無効にされる事も相まってアメリカ軍本部の侵入を阻止する造りになっている。
「……確かにそこの彼の言う通りだ。大将である僕の助言があっても、君達はアメリカ軍本部の近くまでしか行くことは出来ないだろう」
ジェームズのその言葉に皆が沈黙する中、ジークが口を開く。
「情報だけ知る事が出来れば、十分だ。[レジスタンス]メンバー達の居場所が分かれば、アメリカに留まる理由は無い。[レジスタンス]メンバー達と合流後、日本に戻る」
「了解した。本部にある情報は君達に知らせる事を約束しよう」
周辺の空間が歪んでおり、まともに進む事が出来ないだろう。しかし、魔属性に耐性のある廉を先頭に皆はアメリカ軍本部を目指す。




