第871話 骸骨腐敗龍(スカル・コラプション)
男が今まで体験してきた痛みを受けてきた男は耐えきれずに、失神していた。
「……侵入者が一人だけか。何が目的なのか聞きそびれたな」
「目的なら、教えるが」
男の目の前にさっきまで地に倒れていた男が再び現れる。
男は慌てて、地面を確認する。地面には確かに、男は居る。
「クローン軍隊で攻めに来たのかな?」
「クローンでは無い。これは能力だ」
「分身か?」
「能力について話すつもりは無い。ここで死んで貰おう」
「……この先に居るジェームズには勝てねぇよ」
男はそう言うと扉を開ける。
「何のつもりだ?」
「……行きたければ、行けば良い」
「後悔するぞ」
「お前がな」
男は警戒しながらも、国立図書館へと入っていく。
「……ビリーには困ったものだな」
国立図書館の内部の警護についていたジェームズは呆れた様に呟く。
「……ジェームズだな?」
「否定はしないよ」
「否定はあの家系だけか?だからこそ、ただのジェームズと名乗っているのだろう?」
「君には関係の無い話だ」
「構わない。俺達はあの本が欲しい」
「……出来ないよ。それ!」
男は一瞬でジェームズの最後を取ると、素手でジェームズの首を跳ねた。
「……ここからだろう?ジェームズ」
首が切断されたジェームズは顔、体から凄まじい煙を放出すると、肉は溶け、骨だけにあると、骨は急激に数を増やし、骨組みの巨体な竜へと姿を変える。
「……骸骨腐敗龍か?」
「ここで、終わりとなるよ」
国立図書館が崩れない様に形を整えたジェームズだったが、大きさ的にはその男を圧倒するには十分過ぎた。骨組の龍の姿となったジェームズは全身から、汚染物質を放出する。
かなり離れた場所に居た男だったが、たまらずに手で口を覆い、ジェームズとの距離を取る。
「逃がさないよ」
ジェームズは骨組みとなった龍の口を大きく開くと汚染物質を口から放出させる。全身から放出される汚染物質は遅く、逃げようと思えば簡単に逃げる事は可能だったが、口から放出された汚染物質は違った。口から放出された汚染物質は逃げる男に直撃すると、男の体の肉は溶かされ、骨のみとなった。骨だけになった男の元にジェームズは近寄り、その骨を骨組みとなった龍の体へ移植すると、男の骨はジェームズの物へとなった。
「素晴らしいな。その異能は」
その声にジェームズは慌てて、その声の方向を確認する。
そこには、骨となった筈の男が居た。
しかし、ジェームズが奪った骨は今も骨組の一部となって、龍の姿に組み込まれていた。