第865話スライムvs氷
スライムをここで倒す事を決めた、舞、紫音、柚子、氷の四人はスライムへの攻撃を開始する。
「……こいつ簡単に凍るぞ」
氷のその言葉通り、スライムは簡単に凍りついていた。
避ける事が出来る程の俊敏な動きはこのスライムには出来ず、そして進行方向は未だにシェルターのままだ。
舞の斬撃は全く効かず、スライムの対処は紫音、柚子、氷の三人に任せる形となった。
「全部凍ったみたいだなぁ」
氷のその言葉通りスライムは全て凍っており、スライムの動きも停止していた。
その直後だった。氷から凄まじい煙が吹き出し、氷は直ぐ様、溶かされた。
「……覚醒。ただ高温になるだけの覚醒だと良いけど」
紫音はスライム全体から黒いオーラが放出された事からそれが異能であり、覚醒が始まったと悟った。
「兄貴どうする?」
「様子を見よう。スライム全体から放たれるこの煙は高温だ。それに見てよ。スライムの一部が溶けている」
「時間が経てば、跡形も無く、消えてくれると思うか?」
「……そんな単純な事で終わってくれるなら、大歓迎だよ」
「……どうやら、そうはならないらしい」
高温で溶けたスライムは粘液ではなく、液体へと変化しており、その一部が紫音と氷の元へと向かって、放たれる。
紫音は氷神の花畑を発動させ、一瞬にして大量の氷で造れた薔薇を出現させ、液体と化したスライムを凍らせようと試みる。
スライムは凍らせる事が出来たが、液体となり高温状態のスライムは紫音の氷を一瞬で溶かし、紫音へと迫っていた。
紫音は避けるとしたものの、背後には舞が居る事を思いだし、避ける事を止め、高温の液体と化したスライムを己の体で受け止めようと、その場に留まった。
「世話のかかる。バカ兄貴だ!」
氷は暴滅の氷神竜を発動させ、両手から氷竜を放出させる。しかし、氷竜も直ぐに溶かされてしまう。
三人が高温の液体と化したスライムの射程範囲だった。
「凍らせるだけの一点ならば、私の方が上」
柚子は異能を発動し、体内に宿った氷神の聖剣を出現させる。
「止めろ!」
氷のその言葉に従う事はなく、柚子は氷神の聖剣を高温の液体と化したスライムへと切りかかる。
氷神の聖剣で高温の液体は氷始めたものの、その高温は柚子の腕を焼いていった。
「……やりやがった。液体を全て凍らせやがった」
氷は立ち尽くす柚子の元へと向かおうとしたが、紫音によってが肩を掴んだ事によって、止められる。
「何だよ。兄貴?」
「神器が……氷神の聖剣が半分溶けてる」