第863話 シェルター攻防戦
スパイ活動を終えたチーム[ヴァルハラ]はジークを除いた全ての人間がアメリカ軍に所属していた。これはスパイ活動をする上での取り決めで、スパイ活動終了後はアメリカ軍が身の安全と仕事の保証を約束している。
「……ベルセルク。シェルターの回りに居る何人かの魂が消失している」
シェルターの警護をしていたジークは感じ取った異変をベルセルクに直ぐに伝えた。
「……消失する前に増えた魂は?」
「魂があるものが接近すれば、直ぐに伝えているよ」
「魂の無い奴が攻めて来たか」
「……恐らく、アーク・アンダーソンだろう」
「……無限にスライムのみでの侵攻か。消耗戦になるな」
「それに特定の攻撃しか受け付けない厄介なスライムだ」
「……助けは出す事はねぇぞ。アメリカ軍は」
「チーム[ヴァルハラ]のみ……ここでアメリカ軍に力を見せないとね」
「そのつもりだ」
「……また、魂が消失した。どうする?」
「どうもしない。回りはあいつらに任せた。ここは俺が守る!ジーク、お前がどうするかは知らないがなぁ」
「……ここに残るよ。チーム[ヴァルハラ]を信用しているからね」
「そうか……お前らしい」
ーーーーーーーーーーーー
シェルターの回りを警護していたチーム[ヴァルハラ]のメンバー達は津波の様に迫るスライムの対処に終われていた。
津波の様に接近するスライムの動きは遅く、しかし確実にシェルターを目指していた。チーム[ヴァルハラ]のメンバー達はスライムの進行を止める為、動くが、未だに止める事に成功はしていなかった。
「……打撃も射撃も斬撃も効かないとは」
シェルターの回りのメンバー達を指揮しているヘラクレス・リックマンはあらゆる攻撃に耐性のあるスライムの対処方法について考えていた。
スライム相手に打撃、射撃、斬撃が効かない事のみが明らかになっている現状でヘラクレスの頭には撤退の二文字が頭を過っていた。
しかし、今まで管理する神でスパイ活動をしていたチーム[ヴァルハラ]を匿う国も場所、アメリカ軍しか無く、ここで逃走すれば、アメリカ軍に居場所を失う事になれば、チーム[ヴァルハラ]は常に命を狙われる事になり、生存確率はアメリカに居るよりも明らかに低くなるだろう。ヘラクレスにその選択が一人だけで出来る物では無い。
「……出来る限り、死者を出さずに、この場でスライムの対処をしろって事か」
現在の状況から、逃げる事は出来ず、この場でスライムの対処をしなければ、いけないこの状況でヘラクレスはある決断をする。