第862話 合流する者達
「……意識を取り戻りたのかい?」
紫音は舞に確認を取る。
舞は日本であった出来事を全て、紫音に伝えた。
「……ジークフリード・アンサンブルを信用しているの?」
「うん。廉と合流したい。紫音も一緒に[レジスタンス]の元にいかない?」
「廉がどこに居るのか分かるの?」
「うん。ジークが降霊術によって、剣が廉の元まで案内してくれるよ。ほら、あの剣」
舞は宙に浮いていた筈の剣を指さそうとしたが、そこに剣はなく、うろたえる氷と柚子の姿があり、氷は自身の異能、暴滅の氷神竜によって、真っ二つに切断され、切断箇所が繋ぎ止められた剣を氷は隠す様に自身の後ろに隠していた。
「……剣を凍らせた事は気にしてないよ」
舞は氷に気を使いながら、告げた。
「そうか。大事な物では無かったか。宙に浮く珍しい剣だと思ったよ。切断した直後は、剣から青い塊見たいのが天に登って行ったから何事かと思ったぜ」
氷のその言葉を受け、三人は気づく。この場でそれに気づかないのは氷だけだった。紫音も舞からそれを聞いていなければ、知らずにいた。
「紫音……それって」
「……うん。降霊術によって、剣の中に入っていた魂が解放されたと言う事になるね」
「……そうだよね」
紫音と舞の会話について行けない氷は柚子に確認を取る。
「結局、あの剣は何だ?」
「降霊術によって魂が入れられた剣よ。それによって、木山廉の元まで行く予定だった所なの」
「……そうか。余計な事を」
「木山廉の元には行けそうに無いわ。どうするの?」
柚子は現在の状況から、どのように動くのか舞と紫音に確認を取る。
「土地勘の無い僕達が適当に動いても限度がある。アメリカで知っている場所やアメリカに来て、知った場所はあるかい?」
「……シェルター位しか思い当たらないよ」
「今からシェルターに行って、出来る事は有りそう?」
「ジークが居る。近くに仲間が居たみたいだけど」
「僕達は地下監獄コーキュトスに居たんだ。そこに戻っても、出来る事は無さそうだ。シェルターへ行ってみないか?」
二人が話を進める中、氷は割って入る。
「木山廉の居場所なら、電話したら良いだろう。……木山廉はスマホを持っているならだがぁ」
二人はここに来て、思い出したスマホの存在に気付きスマホを取り出す。
「……私が電話するね」
舞のその言葉を受け、紫音はスマホをしまう。
「……出ない」
「やはり、手がかりはシェルターしか思い当たらない。ジークフリード・アンサンブルの存在が気になるけど」