第861話 ジークとベルセルク
「……でも、廉がどこに居るか、分からない」
舞のその言葉を受け、ジークは受注生産を発動させ、剣を一本造り出すと、黒魔術:降霊術を発動させ、剣に魂を入れ込む。
「この剣を追っていけば、いずれたどり着ける」
「……廉の場所が分かるの?」
「降霊術を応用したものだ。自分はどこに居るか分からないが、この魂は導いてくれるだろう」
「……分かった。一人で大丈夫?」
「……問題無い。一人では無いからね」
「それって」
「君達二人が居る以上、ここには姿を現さない様だ」
「信用出来る人?」
「……ええ」
「任せるね」
舞と柚子は魂が入れ込まれた剣を追って走り出す。
「……女二人と行動しているとはな」
「ベルセルク。アメリカ軍の大将就任おめでとう」
「嫌みに聞こえるな。ジーク」
今まで隠れていたベルセルク・フルベルクはジークの目の前に現れる。
ベルセルクはチーム[ヴァルハラ]を率いていたリーダーであり、管理する神に潜入していた一人である。
チーム[ヴァルハラ]はアメリカ、ドイツ、ロシアが協力して集められた一流のスパイ達がチームを組んだ。
孤児だったジークとベルセルクはロシアが用意したスパイであり、幼なじみである。
「……[レジスタンス]に所属する様だな」
「昔から言っていた筈だ」
「木山廉は明らかに格下だろう。そんな奴に付くのか?」
「記憶を失っている今は確かにそうだが、記憶を取り戻せば分からなくなる」
「……魔属性を受け付けない体と、吸収能力を持つ炎剣……木山廉は何者だ?」
「人だ。ただの人だよ」
「そうか。暫くは会えないかもな」
「……皆は?」
「回りの配置してある。それよりも、問題は最終戦争だ」
「……管理する神のNo.10からNo.6のチームによる世界侵攻の話か」
「あぁ、それに新たに造られたチーム[ラグナロク]の存在だ」
「……多くの人が死ぬだろう。何よりも管理する神の狙いが分からない」
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剣を追って走る舞と柚子だったが、その剣が二人組の男達の目の前を通過しようとしたその時、一人の男が放った氷竜によって、剣は真っ二つに切断し、その切断箇所は氷によって、繋ぎ止められた。
「もしかして……氷君?」
目にした情報だけでも、柚子はその男が氷であると思い、声に出していた。
「……紫音?」
舞は目を細め、紫音らしき人物の姿を捉える。
駆け寄ってきた二人組の男は二人の予想通り、紫音と氷だった。
「舞なのか?」
「なんだが、久しぶりの様に感じるよ。紫音」




