第853話天帝空剣(スカイ・エンペラー)
アメリカ軍の大将の一人と言われているイザベラだったが、それはアメリカ軍を裏切った大将の不在を気づかれない様に幻魔の幻覚で操作された事によって、イザベラが大将を務める事になっていた。
しかし、イザベラの実力は大佐レベルであり、とても大将の器では無い。
それでもシェルターを守る為、大将以前にアメリカ軍の一人として、戦闘を続ける。
「……二人で殺せ」
黒髪のその男が二人へと命令を出した事によって、イザベラは指示を出した黒髪の男がシェルターへ攻めいる指揮を取っていると把握し、走り出す。
「向こうから来るか。早く殺れ!」
その男の指示によって、二人の男はイザベラへと襲いかかる。
しかし、一人の男は呆気なく切り捨てられる。
「……お助けよ。アーク様」
「最初に言ったろ。お前ら二人で殺れと、出来ないなら、死ね!」
イザベラはアークへと助けを求めた男の元へ移動すると、天帝空剣をその男の頭上に掲げる。そして、下へと振り下ろす。
天帝空剣は上から下へと振りかざす時のみ絶対切断を誇る剣である。しかし、それ以外は通常の剣である。
そんな天帝空剣が上から下へと振り下ろされた事によって、その男は真っ二つに切断される。
「凄いね」
「チーム[バベル]の副リーダーアーク・アンダーソンね」
「そうだ……お前ごときでは俺には勝てない」
「目的は何?」
「……リーダーやアレックスの考えは良く分からない。俺はただ言われた事をするまでだ」
「……シェルターなら、諦めて」
「出来ないね。止めたければ……殺してみろ。地べたに転ばる奴等はそうしたろ?」
「そうね。そうするわ」
イザベラは天帝空剣を上へと掲げる。
天帝空剣のその切断力を見てきたアークだったが、動く事も身構える事も無かった。
「避けられると思っているの?」
「……避けないが」
「そう。死になさい」
イザベラは天帝空剣を振り下ろす。
上から下へと振り下ろされたその一撃は絶対切断となっており、アークの体を真っ二つに切断する。
切断を終えたイザベラが異変に気がついたの直ぐだった。
血が一滴も流れていなかったのだ。
切断されたアークの二つの体はスライム状になると、独りでに動きイザベラの体に巻き付き、拘束する。イザベラの体の拘束し、余ったスライムは再びアークの体を造り上げる。
「……悪いが、俺には切断は効かない」
拘束されたイザベラは身動きが取れず、剣を振るう事も出来ずにいた。
「終わりにしようか」
「スライムがどう人を殺す?」