第85話said:ドレア・ドレス
今回から三人称です。
side:ドレア・ドレス
荒川玲愛が檜山エンマと戦っている最中、ドレア・ドレスと木山ゲンマの戦いも始まろうとしていた。
嫌、戦いにもならなかった。
ドレアの黒魔術の幻術によってゲンマとドレアは山梨では無く東京本部のとある家の前に来ていた。
その家は家と言う印象よりも道場としての印象が強い家で門の前には川上道場と書かれ、玄関にも川上と表札があり、この家に居ると思われる人物が伺える。そうここには川上玲奈がいる家で日本最強の女が居る家だ。
ドレアがここまで来た理由はシンプルだ。
木山ゲンマの息子、木山廉と檜山エンマの息子檜山仁に会いに来たのだ。
これはドレア自身の行動ではなく上からの命令によって動いている。上とは管理する神から直々に下された命令である。
下された命令は檜山仁と木山廉の記憶を消す事、手段も用意されていた。
ドレアは幻術で操っているゲンマに電話をかけさせた。
直ぐだ。川上の家の玄関が開く。
出てきたのは一人女性。
「ゲンマ?」
「今はまともに会話も出来ませんよ婦人」
「ドレア・ドレスね」
「私を知っているんですね」
「祖国全てを幻術にかけた世界最強と言われる幻術師を知らないほうが可笑しいでしょう?」
「では、今から私のする事は理解できてますね」
「私に幻術をかけるつも……」
「貴女の異能忘却の業火で記憶操作をして貰うわ」
ドレアの幻術によって木山ゲンマと木山可憐は意思を感じられずにドレアに逆らう事が出来ずにただ従う存在となった。
管理する神の行動原理はこの世界の損得や影響等があるが、一番は神能力者と神異能力者の管理だ。
特に廉の持つ炎神の魔武器のこの世界の影響率を考え家族、親族の切り離しの命令が下された。
ドレアには疑問がいくつかある。世界全土にある組織が一人の少年の記憶操作をさせるとはドレアには理解出来なかった。更に木山廉だけでなく、檜山仁の記憶の操作までやることにドレアは更に理解出来なかった。
たった二人の男の為に動かなければいけない事に隠しきれない怒りを覚えるもののドレアは着実に任務をこなしていく。
先ずは、任務通りに記憶を消す様に動く。
ドレアの幻術で記憶操作は難しく、簡単に出来る方法は一つ。幻術で操って木山可憐に記憶を消して貰う事だ。
早速ドレアは行動を開始する。木山可憐の炎は川上道場を飲み込む。
しかし、その炎で道場が焼かれる事は無い。
代わりにこの建物に居た人間の記憶を焼いた。




