第849話 氷神撃滅剣(ブリザード・クラッシュ)
氷月を中心に猛吹雪に吹き荒れる。
紫音は全身から黒いオーラを放出させ、氷神の花畑を覚醒させ、氷竜神の蓮造花へと覚醒させ顔以外の全てを氷に覆わせ、背からは氷の翼を生やす。
「被害は出さない様にする。手を貸してくれ」
「……分かったよ」
紫音は乗っていた氷竜から降り、氷の翼をはためかせ飛行を開始すると、氷は紫音に頼まれた通りに猛吹雪を止めるべく、全身から大量の氷竜を出現させ、猛吹雪が外に漏れない様にドーム状に氷竜を配置させる。
「これで良いのか?」
「あぁ、十分だよ」
紫音は氷で造られた蓮の花を無数に配置させる。宙に浮いた蓮の花は猛吹雪を吸収し始める。
「そんな事をしなくても、氷神撃滅剣で斬って終わりだ!」
氷に言われたその言葉は紫音の頭にも過っていたが、その選択肢は排除されたものだった。
氷神撃滅剣は元々は紫音の物であった。しかし、氷川家の仕来たりによって、神器であり、体内に宿っていたその異能は体から抜かれ、その代わりに氷神の花畑を入れられており、今は氷神の花畑の異能力者となっても、誰よりも氷神撃滅剣の事は紫音が一番理解していた。
だからこそ、紫音は氷神撃滅剣の使用を控えた。氷神撃滅剣は斬りつけた箇所を凍らせ、氷を切れば、その氷を跡形も無く、破壊する事の出来る神器である。
通常の人間なら斬りつけ、凍らせる事も可能だが、氷月の体は全て氷で造られて居る事から氷神撃滅剣で触れただけで氷で体を造られた氷月の体は跡形も無く、崩れさる事から紫音はそれを避けようと考えていた。
「悪いけど、このまま行く」
「……瞬殺出来るのにそれをしないとは……その甘さが命取りにならねぇと良いがなぁ」
氷のその言葉を聞いても紫音の考えは変わらない。
「……私はいつまでも貴方と共に」
「……肉体を捨ててまで生き長らえるとは、何を考えているんだ?」
「貴方の事だけを」
氷月は紫音が手にしていた氷神撃滅剣の柄に触れる。
「……分からないと、思うけどこの剣は」
「氷神撃滅剣でしょう?知っているよ。お兄ちゃんから聞いたから……この状況も私とお兄ちゃんの計算通り」
「……何を言う?」
「……この剣と私を氷神の花畑と統合して!」
「何を言っている?」
「私は貴方と共に居られればそれで良い。本当は氷の中で閉じ込めようと言ってたけど、アメリカ軍の前ではそう言う事になっているの」
「断る!」
「このまま、行けば私はアメリカ軍に処分されるわ」
「……何でこんな事をするんだ?」




