第812話 導きの穢れなき聖剣(オートクレール)
ローラン、オリヴィエの二人はフランス全土を覆う無数の魔手を対処するべく、現在走っていた。
「本当に場所が分かるのか?」
ローランのその疑問にオリヴィエは手にしている穢れなき聖剣をローランに見せ、笑顔で答える。
「問題無いよ。この導きの穢れなき聖剣は持ち主である僕が探す場所を教えてくれる。ローランも簡単に見つけられたし、見つけられるさ。フランス全土を覆う無数の魔手の急所が」
「見つけた所でどう対処するつもりだ?」
「そこはローランの自問自答の穢れなき聖剣の出番だよ」
オリヴィエのその言葉を受け、ローランは笑みを溢す。
「必要ない。お前も分かっているのだろう?」
「あぁ。その為に穢れなき聖剣がある」
導きの穢れなき聖剣に導かれ二人はその場所に訪れる。
「……空を覆う魔手には変わりが無さそうだが」
「それでもここに導いたんだ何かあるさ」
「試すか?」
「……同時に行こう」
オリヴィエのその提案をローランは了承し、二人は穢れなき聖剣を天に目掛け、振るう。
二本の穢れなき聖剣から放たれた衝撃波は無数の魔手に衝突する。
穢れなき聖剣は聖剣の中でも浄化能力に秀でた聖剣であり、魔属性を相手にした場合では圧倒的なアドバンテージを得る。
そんな穢れなき聖剣の一撃がフランス全土を覆う無数の魔手を一瞬にして浄化していく。
「これでノブレスの侵略は終わりだな」
「魔手のみの侵略だからな。本体は今まで奪った魔法、能力、異能を持ち去ってな」
「……行くんだろう?」
「あぁ、後は任せる。これを」
ローランは自問自答の穢れなき聖剣をオリヴィエに手渡す。
「……やはり、オリヴィエ。全ての穢れなき聖剣の適合するな」
「君もその才能があると思う」
「どうだろうな。フランスの事は任せる。この旅は長くなりそうだからな」
「気の済むまで行ってくると良い」
オリヴィエは足早に移動するローランの後ろ姿を見つめた後、フランスの空を見上げる。
「青いな……いつまでも待っているよ。ローラン」
空を見上げていたオリヴィエのその耳にジャンヌの声が届く。
「師匠」
「ジャンヌ、被害者は?」
「出ておりません。空から伸びてきた魔手はフランス兵で食い止めましたから」
「そう。それは良かった。国民に危機が去ったことを伝えてくれ、そしてフランス兵を一ヶ所に集めてくれ」
「はい」
オリヴィエは指示にジャンヌは慌てて走り出す。その後の事だ。
オリヴィエが思い出したのは
「ジャンヌ済まない。ガーロン様を捕らえた者達が居る筈だから、フランス兵と共に集めてくれ」