第795話 魔法の鎖(グレイプニル)の使い方
魔法の鎖は対象のものを縛る事によって、最大の効果を発揮し、それを造る事は世界でも限られた人間でしか出来ない程複雑なものとなっている。
魔法を巧みに練り込み、魔法石、賢者の石等を使用して造られ、最初は管理する神No.8チーム[パンドラ]のリーダーパラス・スケールによって、一世紀前に造られたものである。
そんな魔法の鎖はそこにあるだけで魔法、能力、異能を少しだけ無力化する。だからこそ、魔力で操作も可能である。
その事利用して、その場に居るスカーレット、ドレア、ルーナ、彩美、廉、秋人は幻影魔王の討伐に挑む。
「ルーナ。魔法の鎖の所持数は?」
「五個です」
「こちらの数は五よ」
ドレアがそう答えると、スカーレットがそれに続く。
「私は十個よ。全部で十五個、それだけあれば十分ね。ルーナは魔法の鎖を全て操作して貰うわ。そして、ルーナの護衛は彩美に任せるわ。そして残りの四人で、幻影魔王の隙をついて攻撃の機会を伺いましょう」
スカーレットのその提案に秋人は口を挟む。
「……三人でお願いしよう」
「……一人はなんの役目を?」
「俺が吸収に徹したい」
「何故かしら?」
「吸収したエネルギーは俺の力となる。力を溜め込めば、魔法に関して最強の一撃を誇る一撃よりも強力な一撃を放てる」
「……了解したわ。三人で攻撃を行いましょう」
スカーレットのその作戦を実行するべく、配置につく。
ルーナは魔力によって、魔法の鎖を操作して、宙へと浮かし、いつでも動かせる様な状態で待機しており、そのルーナを護衛を任された彩美は両手に雷を纏わせ、待機していた。
「リーダー。お気をつけて」
「あぁ、行ってくる。頼むな」
「はい。できる限りの事は致します」
「じゃあ、行ってくる」
廉は炎神の魔武器によって造られた炎神の魔装を装備すると、空へと飛び立つ。
廉に続くようにスカーレット、ドレアは魔力で自身の体を持ち上げ、飛行を開始する。
「……最初は魔法の鎖の動きと、どこまで幻影魔王の霧に対処出来るのかの確認をしましょう」
スカーレットのその言葉に廉、ドレアは無言で頷く。
幻影魔王は自身の体を霧にする事無く、全身から大量の霧を放出させる。
雲散霧消の能力があることで、霧に触れてから、数秒経つと接触部分は消滅させる事の出来る能力からして、霧が発生した事によって、上空に居る三人は警戒心を強める。
「……一ヶ所に纏まっていると、狙われるわ。散りましょう」
スカーレットのその提案を受け、三人は別方向に散っていく。




