第788話 幻魔猛攻
幻魔は廉、秋人から離れ、ドレアの元へと自身の体を霧へと変換させ、移動をしていた。
「……辺りの空間が歪んでいるわね」
スカーレットは頭を手で押さえながら、目の前で起きている事実を口に出していた。
スカーレット以外の三人に加え、ルーナの監視を勤めていたチーム[シールド]の三人のメンバーも頭も手で押さえつけていた。
「強力な幻覚ね。私は歪んでいるわね様には見えないけど、脳に直接、作用している幻覚ね」
ドレアだけが幻覚にかかってはいなかったものの、脳に直接訴えかけてくる高度な幻覚を称賛しながら、頭痛にも似たその痛みを堪えていた。
その場に居る者達が幻魔の幻覚に苦しめられる中、霧は一ヶ所に集まると、そこから幻魔が姿を表す。
「幻魔!」
現れた幻魔にスカーレットは声を荒げると、共に右手に黒いオーラと白いオーラ一瞬で纏わせるとそれを放つ。
「ゼブラ・ストライク」
黒いオーラ、白いオーラが入り交じったその魔力は真っ直ぐ幻魔に向かって解き放たれる。その一撃は対極魔法を使えるスカーレットのみが放つ事の出来る魔法に関しては世界一の攻撃力を誇るその一撃が幻魔に直撃すれば、幻魔を倒す事も可能なその一撃は幻魔も警戒しており、スカーレットのその一撃は幻魔の霧の拡散によって、体を霧へと変換させ、スカーレットの一撃を軽々と逃れ、霧を自身の体へと戻し、更に幻魔は幻覚を強めていた。
「頭痛が」
幻魔の幻覚が強まった事によって、脳に直接作用されその場に居た者達は立っていられる事も出来ず、倒れ込んでいた。
そんな時に、廉と秋人は合流する。
「どうしたんだ?」
四人が倒れ込む状況を見て、廉は戸惑う。そして、倒れ込むスカーレットは何事も無く、立ち尽くす廉を見て、困惑する。
「どう……して、幻覚が効いてないの?」
「……えっと、俺、魔属性に耐性があるので」
「幻魔が幻覚を使い続ける以上、私達は動けないわ。幻魔を幻覚が維持できない程まで追い込める?」
「……アメリカの五人しか居ない大将の一人に頼られるとは、やるしか無いな」
廉は黒炎神の魔剣を幻魔に向ける。
「ここにドレア・ドレスが居る以上もう逃げねぇよな。幻魔!お前はここで俺が倒す!」
廉のその決意を受け、廉の隣に秋人が立つ。
「幻魔の幻覚は強力なものです。それでも、俺とリーダーは幻覚の影響を受けません」
「つまり、俺達でやるしかねぇって事だよな」
「はい。共に戦いましょう。そして、幻魔の力を奪って下さい。リーダーなら、それが出来ます」




