第787話 動く幻魔
「……そうね。ここで何を言っても、本当か、嘘かどちらか分からない事よ。全ては幻魔が倒してから話しましょう」
「……分かったわ」
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幻魔に攻撃が弾かれ、次の攻撃の機会を伺っていた。
しかし、現在の幻魔は言葉を発しないものの、困惑していた。
「どうしたんだ？」
困惑する幻魔を見て、心当たりの無い廉も困惑していた。
「確証は有りませんが、幻覚を止揚しているのかもしれません」
「幻覚？何も感じないけど」
「俺もリーダーを魔属性の影響を受け付けませんから」
「……つまり、幻魔は幻覚の効かない俺達に動揺しているって事か？」
「そうだと思います」
「これはチャンスだな。もう一度攻撃を仕掛けても良いかな？」
「構いません。何度でもトライしてください。俺が何度もサポート致します」
「悪いな」
廉が攻撃に移ろうとしたその瞬間、幻魔は自身の体を霧へと変化させ、全身を霧へ変え、その霧は移動を開始する。
「……どこへ行くんだ？」
「……ドレア・ドレスの元かと」
「そうか。ドレア・ドレスの体を狙っているんだよな」
「はい。幻魔を追いかければ、三人とも合流出来るかと」
「よし！追いかけよう」
廉は炎神の魔武器を発動して、炎神の魔装を身に纏う。
「空飛べるか？」
「ええ、リーダーもそのコートで飛べる様になるんですか？」
「そうだけど……もしかして昔の俺は違った？」
「昔のリーダーの事は俺も良くは分かっていないんですよ。出会って間もなかったですから」
「でも、そんな短い期間でお前は俺にー」
「はい。貴方について行こうと思いました」
「……俺はそんな大それた男ではないと思うけど」
「俺はそうは思いません。それに俺だけではありませんよ。リーダーを慕うのは」
「そうなのか？」
「はい。[レジスタンス]で一番リーダーを慕っているのは武田信玄ですから」
「……それって？」
「はい。山梨支部の武田家の当主で信玄の名を襲名した男ですよ。リーダーの為なら、武田家の人間を動かすとまで豪語している位ですから」
「それはまた、何でそんな事に？」
「……聞いた話だと、リーダーが信玄さんの奥さんとお子さんの命を救ったと、それに信玄さんの命も救ってますから」
「……全く覚えが無いが」
「ゼウスとの戦いの時ですよ。今は思い出せないかもしれないですが、いずれ記憶を取り戻す時は来ますから」
「そうだな。[レジスタンス]の総帥になるとか、昔の話は一旦考えるのは、止めだ。先ずは、幻魔だ」
