第786話侵入
「黙視ではね」
「……中はルーナの一人ね」
ドレアは魔力を放出させ、触れた物体を感知し、建物にはルーナしか居ない事を把握する。
「私の幻覚なら、あの三人に気づかれる事無く、建物に侵入出来るわ」
「……任せるわ」
スカーレットはドレアに全て任せた。
ドレアは一瞬にして姿を消した。建物内へと侵入を果たす。
ドレアは椅子に座らされ、魔法の鎖を巻き付けられた長い黒髪女性を見て確信する。
「一日ぶりかしら?ルーナ」
うつ向いていたその女性が顔をあげ、ドレアとルーナは一日ぶりの再開を果たす。
「ドレア様」
「思ったより、元気そうね」
「ここに放置されていただけですから」
「……ここから出るわ」
「反撃ですか?」
「……それは無理ね。チーム[カオス]の生き残りはここに居る二人だけよ。それに貴女はどうかは分からないけど、私は命を狙われる身となったわ」
「どうゆう事ですか?」
「幻魔がイギリスまで来ているわ。次の体を手に入れる為に」
「……まさか、ドレア様の体を」
「そうよ。そこで私はアメリカ軍につくことにしたわ」
「……どこまでも、ドレア様と共に」
「それで良いのかしら?」
「はい。構いません」
「……幻魔を倒すわ」
ドレアはスカーレット達が待つ元の場所へ移動を終える。
「始めはして、私はスカーレット・クイーン。宜しく、ルーナ・アルジャナース」
スカーレットはルーナに手を差し向ける。
「スカーレット・クイーン」
ルーナはアメリカ軍最強の大将であり五人しか居ない一人が居る事に戸惑いつつ、ドレアがアメリカ軍につく事を聞いていたこともあって、大人しく差し向けられた手に応じる。
「……で、この子は?」
ルーナはスカーレットの後ろに居る彩美の存在を確認する。
「この子は加藤彩美よ。幻魔の幻覚によって、記憶が随時消されているけど、間違いなくドレアの妹よ」
「それは本当ですか?」
ルーナは直ぐ様ドレアに確認を取る。
ルーナは今までドレアと五年以上の付き合いになるが、今まで妹が居る話は聞いた事はなかったからこそ、ドレアに確認を取った。
「その記憶は無いわ。でも、否定も出来ないわ」
「しかし……」
「それに私は元アメリカ軍に居て、スカーレット・クイーンの部下だったらしいわ」
「そんな話は信用できません」
ルーナのその言葉を否定するかの様にスカーレットが割って入っていく。
「それはどうかしら、仮の話だけど、ドレアはアメリカ軍の調査で管理する神に潜入していたかもしれないわ」
「そのでたらめな話を信用出来るか」