第78話 最悪の状況
私達は任務の日まで念入りに作戦会議を繰り返して、当日を迎えた。
作戦は夜中。それまでは皆自由行動が認められた。
自由行動が認められたけど……夜中には人を殺さなければいけない。
何をやるにしてもやる気が出ない。まだ私が人間と言えるかな?
嫌、そんな考えを私がしている時点で可笑しいのかもね。
もう私が普通の人間としてやっていくのは無理だと思う。だからこそここで私はやっていく。そして、ここでの居場所を守り抜く。
作戦五時間前にチーム[カオス]の全メンバーは大広間に集められた。
「ドレア様」
「分かっているわ」
ルーナさんとドレアさんは小言で何かを話している。
二人とも怖い表情をしている。
「何かあったみたいね」
八重ちゃんはただならぬ二人から何かを感じ取ったみたい。
「そうだよね」
八重ちゃんの言葉に浴衣ちゃんは相づちを打つ。
後、五時間で任務なのにどうしたんだろう?
琴音さんを戸惑って居るみたい。
梓さんは……様子が可笑しい……気のせいかな?
「可笑しいわよね?」
私の耳元で囁かれた。
この声はドレアさん。
「何がですか?」
「あら、貴女も私と同じ考えじゃ無い?」
「……一体何があったんですか?」
「まず、皆に説明をしましょう」
そう言うとドレアさんは私から離れ、ルーナさんの元に戻る。
「私達が今日までやって来た作戦が檜山家、木山家に筒抜けになっているわ」
「それじゃ、今までの作戦は?」
ドレアさんの話に琴音さんは食いついた。
……梓さんは?
うつ向いている。
「作戦は一から考え直すわ。チーム[フレイム]との約束は今日よ。失敗すればチーム[フレイム]から攻撃を受ける可能性もあるわ」
ドレアさんは梓さんを睨み付けながら話を続ける。
後、五時間しか無いのに?
檜山家と木山家に気づかれていれば対策されているはず、任務成功率はかなり低くなるんじゃ?
「それだけじゃありません。木山家と檜山家が手を組みました」
ドレアさんの隣に立つルーナさんは冷静に告げる。
チーム[カオス]の状況が危うい事は私みたいな素人でも分かる。
チーム[フレイム]から依頼を受け、期限は今日中で達成できなければチーム[フレイム]から攻撃を受ける可能性があり、任務に行ったとしても相手は撃退できる様に準備をしているはず、簡単には行かないことは私でも分かる。
その難しさは私なんかよりもドレアさん、ルーナさんの表情を見れば直ぐに分かる。私達[カオス]は任務に行って成功するか、失敗するか……だよね?