第777話 女三人
スカーレット、ドレア、彩美の三人は廉、秋人から少し離れた場所に居た。
「少し、時間が出来た事だし……話さない?」
スカーレットの提案にドレアを警戒する。
「そんなにかしこまる事は無いわ」
スカーレットは一枚の写真をドレアに投げつける。
ドレアはそれを受けとると、その写真を見て、動揺する。
そこには記憶の無い光景と、身に覚えの無いその写真を見て、ドレアは無言のままスカーレットを見つめる。
「記憶にないかしら?私もよ。幻魔の幻覚によってアメリカの一部の情報が書き換えられている。だからこそ、私は幻魔を倒しに来た。そして、かつての部下を連れ戻しにも来た」
スカーレットのその言葉にドレアは写真をスカーレットに向け、答える。
「それが私だと?」
「そうよ。記憶が幻覚によって、書き換えられても、それは事実よ」
「……幻覚に関しては、誰にも負けるとは思えないわ」
「確かに、ドレア・ドレスの幻覚は世界でもトップクラスよ。でも、幻覚にかけられている。それは事実よ」
「……倒せば、全て明らかになるものでしょう?」
「その通りよ。倒せば全て解決する話よ。貴女の正体はね……そうすれば、妹の事も思い出すかもね」
「妹?」
「ええ、そこに居るでしょう」
スカーレットのその言葉を受け、ドレアは彩美を見つめる。
「…そうは見えないわ」
「それでも、私達が調べた結果……そうだとけつろんが出たわ」
「……幻魔を倒せば全てが分かるわ。全てはそこからよ」
「でも、どうするつもり?管理する神から幻魔を差し向けられている時点でもう居場所は無いわよ」
「そうね。まずは、幻魔を倒すわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「……来たか……幻魔!」
イギリスのとある建物の屋上で待っていたパラス・スケールは現れた幻魔に駆け寄る。
「木山ゲンマの体では異能を抜かれた後であり、別の能力を儀式で入れた事もあって、他の十鬼シリーズの中でも実力が劣ってしまったからな。……でも、安心しろ。ドレア・ドレスは能力と魔法を扱える女だ。次の体はあいつだ、あいつの体なら、お前も満足出来るだろう。……自分の手で奪ってこい!」
パラスのその言葉に逆らう事も、返事することも無く、幻魔の体は霧へと変化し、その場から姿を消した。
十鬼シリーズは死者の体を元に特種な球体の様な物を対内に入れ込む事で鬼へと変化させており、その死者が持つ魔法、能力、異能を受け継ぐ事が出来る。しかし、幻魔の体の元となった木山ゲンマの異能は抜かれていたのだ。




