第767話 宇宙なる原則(スペース・プリンシプル)
ローランの体中から放たれた黒いオーラが壁、天井、床に染まってしばくしてから、その黒いオーラはまるで宇宙を連想させる様に惑星、星等が浮かび上がる。
「宇宙なる原則黒いオーラを放ち、固定させた場所に宇宙と同じ原則を与える異能」
「良く、知っているな。それはそうか。かつて、フランスの最強と呼ばれ続けられた男の異能であり、現在は俺の異能だからな」
「貴方がチーム[スターゲイザー]のリーダーについてからは行方不明者、死亡者が増える一方、何か関係しているのでは?」
「それを聞いてどうする?」
「師匠は貴方はこんな人ではなかったと言われていました。昔の貴方は剣を愛し、愛された人と聞きました。師匠の記憶が昔と今では全く違う!」
「……古くの記憶か……そこまでは隠せなかった。フランスも潮時だな」
「……お前を最後としよう。不滅聖焔剣を外に出さなくても良い。異能ごと頂く」
ローランは全身から黒いオーラを放出し始める。
「ローラン様。ご報告致します。もう間も無く、オリヴィエ・シュヴァリエが率いる部隊がここにやって来ます」
「何?」
部下からのその報告を受け、ローランの体は止まる。
「……オリヴィエ……俺と事を構えるつもりか?」
「それがオリヴィエだけでは無いのですが」
「どうゆう事だ?」
「チーム[スターゲイザー]以外の[スターレイン]、[スターマイン]、[スターゲイル]、[スターレムナント]全員がここに向かってきます」
「……フランスの最強の部隊の四チームが手を組んだ?オリヴィエの仕業か」
この場所にオリヴィエが率いる部隊がやってくる事を知ったジャンヌは異能を発動すると共に背に焔の翼を生やし、不滅聖焔剣を手にする。
「……もう時間は無さそうですよ」
ジャンヌは不滅聖焔剣をローランに向け、迫る。
「……その様だな。フランスはここで壊滅させよう。宇宙なる原則は未だに地下の牢屋に居るやつから、借りたものなんだがな。借りられるのは一つだけではないんだよ。様々な能力、異能、魔法を一方的に奪い取ろう。奪い取られた者は死ぬがな」
ローランは自身の体に繋がっていた黒い糸状の物を切断する。
「何をしたのですか?」
「今まで繋げていた物から一方的に魔法、能力、異能だけを抜き取ったんだよ」
ローランの体中から黒いオーラが独りでに何処かへ飛んでいった。
「何です。今のは?」
「本来の俺の元に今まで奪った魔法、能力、異能を送ったんだよ」
「本来?」
「……この体は、残念のナイトメア・クリスマスの時に奪った体だからな」