第762話 変貌
レオナルドはザザスの不適な笑みを見て、冷静に考え込む。
(神器を奪われても、体内に戻し、再び、手にする事が出来る。……そのザザスの自信……そうか。神器が体内に戻せない場合がある。神器に不純物がある場合だ。神器以外を体内には入れられないからな。だと、したらザザスは死神の魔剣に不純物を混ぜ込み、僕の元から遠ざけられたら、僕は生身で戦うことになる。そうなると、僕は勝てない。死神の魔剣は何としても、死守する!)
レオナルドは死神の魔剣を振るう。その攻撃は空振りに終わったが、その攻撃は無数の悪霊の様な存在の顔から連動して、放たれる。
ザザスは右手をかざし、そこから大量の黒いオーラを放出させる。
ザザスの放った黒いオーラはレオナルドの斬撃を呑み込みと、そのままレオナルドに向かって動き続けていた。
威力では断然レオナルドの斬撃が上回っていたものの、それでもザザスの黒いオーラに呑み込まれていた。ザザスの黒いオーラには威力では攻略出来ない物があると、レオナルドが理解したその時だった。
周囲は黒いオーラに包まれ、空は無くなり、天井の様な上空から黒い液体の様な物が垂れていた。
「なんだ?」
急な出来事にレオナルドは思わず、口にしていた。
|しかし、レオナルドの異能である死神の魔剣は自身の体にかかる負を悪霊へと自動的に流し込む様になっており、ザザスによる睡魔の時も悪霊へと負エネルギーを送り、無力化していた。
つまり、現在の状況は死神の魔剣でも対処出来ない場合か、レオナルドにまだ影響がないから死神の魔剣の効果が発動していたかのどちらかである。
「……ザザスが消えた?……幻覚では無さそうだな」
目の前に居たチーム[ナイトメア]のメンバー、そして、リーダーであるザザスの姿が居なくなっていた事に戸惑っていたが、現在の状況が幻覚ではないと断言した。それは今までレオナルドが幻覚を受けた瞬間に死神の魔剣の効果で自身にかけられた幻覚を悪霊の様な存在へと送り、無力化してきたからである。暫くしても現状が変わらない事からこれが幻覚ではないと判断に至ったレオナルドはザザスを探す事にした。
姿が見えなくても、死神の魔剣から産み出された悪霊の様な存在は相手のマイナスのエネルギー、プラスのエネルギーを頼りに探し出す為、レオナルドが見えるかは関係の無い話である。
「……何?」
無数の悪霊の様な存在はザザスを探そうとした途端、姿を変え、無数の巨人の姿へと変貌して、レオナルドの目の前に立つ。