第758話略奪者の支配(プレデター・プランツ)
ローランは死体の確認を行う上官の頭に手を置く。
上官は動く事が出来ずに居た。ローランはその上官から何かを抜き取る。それは端から見たら、ローランが上官の体から黒い上官の体をした何かを抜き取る様に見える。
ローランは上官の体から抜き取った黒い姿をした上官の様なものを自身の体の中に入れる。すると、黒い上官の体をしたそれはローランと上官の体を繋げていた。黒いそれは直ぐに消える。
「……これからは貴方の能力は俺のものだ。貴方の命も……俺の代用品となった。精々、俺の為に動いてくれ」
「ふざ……」
上官がローランに声を発しながら、掴みかかろうとしたその時、上官の体は硬直する。
「俺に逆らう事は許さない。これからは貴方は俺のペットだ。いずれ、俺の部下にしてあげますよ」
ローランのその言葉に反論も出来ぬまま、上官はローランによって、動かされる。
上官は見たことの無い場所に連れられ、そこで知る。
(……フランス部隊最強のチーム[スターゲイザー]のリーダーのアルク・バクス。まさか)
「そうですよ。この男からも全てを奪いました。勿論、異能もね」
上官の心を読んだローランは何食わぬ顔で答えた。
心を読まれた上官は何故、フランス最強の部隊を率いる男とこんな場所で引き合わせたのか、理解が出来ずにいた。
「アルク・バクス……この時が来ましたよ。殺して下さいね」
「分かっている。……約束は守ってくれるだろうな?」
「えぇ、奥さんと娘さんの安全は保証しますよ。貴方とはもう十年の付き合いだ。愛着も湧く」
ローランのその言葉を聞き、覚悟を決めたアルクはローランの上官の目の前に立つ。
「済まない。君を殺さなければならない」
「どうゆう事ですか?」
アルクはローランを見つめる。
それに気がついたローランは
「どうぞ、ここは誰も来ませんから、お好きにしてください」
ローランの了承を得てアルクは話し始める。
「俺がローランと出会ったのは十年前だ。その時のローランはまだ五歳の時だった。子供と言う事もあって、俺は油断していたこともあって、この体の全てを一方的にローランと繋げられていた。ローランが受けたダメージは全て俺が肩代わりしてきた。俺の行動の全てはローランが決めた事だ。今の妻の結婚もローランが仕組んだものだ。ローランの目的は妻と俺の元に産まれてくる子供だった。妻も娘もローランによって、一方的にリンクされている状態だ。君も略奪者の支配によって、一方的にローランと体をリンクされ、逆らう事も出来ずにここに居るのだろう?」




