第753話伝説の聖剣(エクスキャリバー)
「……」
「理解出来ないか?チーム[メメントモリ]、[ナイトメア]とも違うチーム[レジェンダリー]の存在は」
「……誰が相手でも私は勝つ」
「……出来る訳無いだろう。お前はもう詰んでいる」
アルフレッドのその言葉と同時にキャサリンの胸に槍が突き刺さる。
「……後ろが見えないだろうから教えておいてやる。そいつはチーム[ランス]のリーダーの王者の神槍だ。と、言っても全ては俺の力なんだがな」
「……負けない」
「……姉と同じ最後になりそうだな」
アルフレッドはキャサリンから離れ、後の事は[メメントモリ]が送り込んだ黒いオーラで造られた存在に任せて
「……結界に亀裂?」
アルフレッドは突然結界に出来た亀裂を見つける。
この結界は全てを遮断するものであり、破壊しようにも、目視で感知は出来ないものである。
その亀裂は次第に大きくなる。
結界が破壊されるのは時間の問題だと思ったアルフレッドは素早く、キャサリンの元へと戻る。
王者の神旗を発動させ、黄金に輝く旗を手にしたアルフレッドはその旗を剣へと変化させると、キャサリンの首を跳ねる。
「姉と同じで[メメントモリ]の黒い奴等に任せても良かったんだが、状況が変わった。俺が奪ってやる」
キャサリンの命を絶ったアルフレッドはキャサリンの所持していた伝説の聖剣を手にする。
しかし、弾かれる様にして、手元から離れていく。
「拒否した?」
アルフレッドは手元から弾かれた伝説の聖剣を見つめて、焦りを感じていた。
武器を出現させる能力、異能は持ち主が死んだ時、その神器を奪う事が出来る。ただし、その神器が適合者と認めた場合に限り、持ち主が死んで一定の時間の間に次の適合者が見つからない場合次の適合者の元へと宿る。おおよそは産まれてくる赤子の場合が殆んどであり、稀に無能力者の体へ宿る場合もある。
キャサリンは魔法を扱えるが、魔力量の少なさからあまり使えずにいた。そんな中、姉が死んだ事によって、姉が体内に宿していた伝説の聖剣の次の適合者となった。異能である伝説の聖剣はキャサリンの体内に宿る事は無い。次の適合者で体内に宿るとしたら、近くに適合者が居ない場合であり、近くに適合者が入れば、その適合者の体内ではなく、持ち物として扱われる。
アルフレッドが現在、伝説の聖剣に拒否された事によって、適合者として否定された事になる。
このまま時間が経過すれば、ここから消滅し、次の適合者の元へと移動してしまう。これを止める術はアルフレッドも誰にも出来ない事である。