第748話 三年前
「話ですか?」
「あぁ、ローランについてな」
「……君はナイトメア・クリスマスからローランに何かを思っていた様だけど」
「知っているなら、話が早い」
「……話は聞こう」
「単刀直入に言う。ローランは肉体を失ったハーデスの力を受け取った人間だと思っている」
オリヴィエはモルドレッドのその言葉を聞いて、表情一つ変える事は無かった。それを見逃さなかったモルドレッドはそれを追及する。
「驚かないんだな。オリヴィエ・シュヴァリエお前も薄々分かっていたんじゃないか?」
「……それで、本題は何かな?」
モルドレッドの質問に答えること無く、話を変えたオリヴィエにモルドレッドはそれに触れずに、オリヴィエの問いに答える。
「ローランを今倒すなんて、言わないさ。だが、フランスのパワーバランスを崩す訳にはいかない。ジャンヌの処断を止めて貰いたい」
「……君は動かないのか?」
「俺が動いて、フランスと事を構える訳にはいかない」
「それで、ここに来たと」
「そうだ」
「悪いけど、動けないよ。フランスの為にもね。でも、君が何故、ローランをそれほどまで危険視しているのかを聞かせてくれれば、考えは変わるかもしれない」
オリヴィエのその言葉からモルドレッドは直ぐに、理解した。
オリヴィエもローランの何かを疑っており、情報の無さから、情報を少しでも得ようとしている事を。
モルドレッドはただ情報を得て、ジャンヌの処断を止めに動かない可能性もある中でモルドレッドは話す事を決意する。
「良いだろう。話そう。あれは三年前のナイトメア・クリスマスの戦争で俺は確信した」




