第747話 会話
アルバーがローランに次いで最強とされるオリヴィエ・シュヴァリエに簡単に会えるとは思えず、モルドレッドの行動を伺っていた。
そんな二人の前にジャンヌを慕いチーム[スターマイン]の副リーダーでもあるクロエが二人に目を止める事もなく、建物内へと入っていく。
モルドレッドはそれを見逃す事は無く、自身の影を伸ばしクロエの影を繋げる。
「アルバー行くぞ」
「……あぁ」
クロエと影を繋げた時点でモルドレッドの考えと行動を察したアルバーはただ従った。モルドレッドはアルバーと共に影の中へと身を潜めた。
クロエの影と繋げた事によって、移動を続けるクロエに続く事が出来た。
そして、モルドレッドはこの時、クロエがオリヴィエに会いに来たと確信していたからこそ、影をクロエに繋げるに至った。
ローランを止める事が居るとしたら、フランスではオリヴィエ位であり、クロエがここに来た時点でモルドレッドはクロエはジャンヌの処断を止める為、オリヴィエを頼りに来たと推測する事が出来た。
そして、クロエはオリヴィエの元へと移動を終える。
銀髪に優しさが滲み出ているこの男こそ、フランス第二部隊を率いる[スターレイン]のリーダーオリヴィエ・シュヴァリエである。
「……オリヴィエ様。お力をお借り出来ないでしょうか?」
クロエのその言葉にオリヴィエは無言のまま能力を発動させ、一瞬にして神器である銀色の剣を手にする。
これは白銀神剣の能力によって、体内から出現したものであり、この剣は如何なるものであろうと、弾き、汚れる事は無いと言われる剣である。
そんな剣を握ったオリヴィエはクロエに向けて、それを振るう。
すると、クロエの影に入っていたモルドレッド、アルバーが吹き飛ばされる。
「……影の中に入っていた?」
自身の影から二人が出たことによって、クロエはその事実を理解した。
「何の用かな?」
敵を招いたクロエを叱る事もなく、侵入したモルドレッド、アルバーを攻撃する事も無く、オリヴィエは優しく尋ねる。
モルドレッドはオリヴィエの人柄を理解しているからこそ、ここまで大胆な行動を取ることが出来た。オリヴィエは子供でも、犯罪者でも、誰に対しても敬語で話し、誰もが口を揃えて優しい男と評価し、どんな理不尽にも怒る事は無く、誰もが常に優しいオリヴィエとしてしか接した事が無いとされるオリヴィエだからこそ、落ち着いて話す事が出来ると思いモルドレッドはクロエの影に侵入していた。
「少し、話したい事があってな」




