第743話 切り裂き(ザ・リーパー)
フランスで三人目の切り裂きジャックが現れたその頃、イギリスの王室でエリザベス女王は一枚の紙を手にして、戸惑っていた。
「どうしましたか?」
エリザベス女王のその様子を見て、アーサーは我慢出来ずに尋ねた。
「報告書によると、切り裂きジャックは間違い無く、チーム[レジェンダリー]のメンバーの様です。噂に聞くチーム[レジェンダリー]が動くとなるとそれはイギリスだけの問題ではありません。世界で動く必要があります」
「噂に聞くチーム[レジェンダリー]は魔法、能力、異能等が使える様ですが、それ以外にも特殊な力を有していると」
「そうです。切り裂きジャックの場合、切り裂きの能力に[不死]の力を有しているみたいです」
「……それで、どうなさるおつもりですか?」
「客人として扱いますよ」
「それで良いのですか?」
「それが良いのです」
「……分かりました。これ以上はもう何も言いません。何があっても貴女をお守りする事に違いはありませんから」
「はい。頼りにしてますよ」
「そう言えば、イギリスとフランスに二人現れた様ですが、二人居たのでしょうか?」
「……失敗作だったのかもしれません」
「昔にも有りましたね。ナポレオンを名乗る男女が六体現れた事件が」
「それと酷似していると思っています」
「では、二人で終わりでは無いかもしれませんね」
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破壊不能な物質で造られた剣一本で、黒づくめの男を圧倒した武田は創造神の物質を発動させ、黒づくめの男の体を拘束させる。
「破壊出来ないこの物質で拘束した時点で、お前に勝ちは無い。諦めろ」
捕らわれた切り裂きジャックは不快な笑い声で笑い続けていた。
「こいつ、大丈夫ですか?武田さんの攻撃も、俺の攻撃も効かないなんて……」
「……とにかく、これでもう終わりだ。こいつを連れていくぞ」
武田は破壊不能な物質で拘束した切り裂きジャックを抱え、フランスの軍の元へと歩き始める。
フランス軍に切り裂きジャックが引き渡された事によって、フランスのとあるパーティー会場にその事が伝わり、会場に居た皆が何事も無かったかかの様に賑やかさを取り戻していた。
「ジャンヌ様、フランス軍に切り裂きジャックと思われる人物が日本の護衛任務についていた者によって、捕らえる事に成功した様です」
フランスの五大部隊の一角、第三部隊[スターマイン]の副リーダークロエの報告を聞きながら、オレンジ系の炭酸の飲み物を口へと運ぶ。
「……切り裂きジャックについては、イギリスが共同で動きたいと申し出があったと聞いたけど」




