第741話 三人目の切り裂きジャック
フランスに現れた一人目の切り裂きジャックはチーム[ジョーカー]のモルドレッド、アルバーによって捕らえられ、二体目の切り裂きジャックはイギリスの王室で客人として扱われていた。そして、ここに三体目の切り裂きジャックが現れる。ここはフランスのとあるパーティー会場であり、そこには日本から来た[レジスタンス]のメンバー立花雲雷、武田信玄が守りを固めていた。そんなにこの場所に不快な笑い声が響き渡る。
「……どうやら、何か来たみたいですね」
敵の姿を捉えられてはいないものの、その不快な笑い声のみで雲雷はその存在を認識する。
「笑い声がするだけだ。ここに来るとは限らんぞ」
「そうですけど、この笑い声……近づいて来てませんか?」
「……確かに、では……迎え撃つか。黒づくめの奴がここに向かっている」
武田は全身黒い服に身を包んだ男の接近に警戒を強める。
しかし、雲雷は違った。
「……フランスの兵士も居ますし、俺達の出番は無いかも」
「それは無理だろう。俺達の前を守っている兵士だ。あいつがここまで来たと言うことはフランスの兵士は殺られたんだろ」
「フランスの兵士のレベルが知れてますね」
「フランスの兵士がそんな弱い訳無いだろう。フランスも何か考えが有るんだろう。とにかく、これ以上進ませる訳には行かない」
「分かってますよ。ここで俺が倒しますよ」
「余裕だな」
「当たり前ですよ。こんな所で負けるような雑魚になった覚えはありませんよ」
雲雷は能力を発動し、体内にある雷鳴雷轟を手にする。常に雷が纏われているその雷剣はあらゆるダメージを剣に当てるのが条件ではあるが、ダメージを吸収することが出来る。そして、そのダメージに応じて、雷の威力を増した一撃を放つ事が出来る。そして、放たれる雷は凄まじい轟音と共に放たれる。
「取りあえず、あいつの攻撃を受けますよ」
「吸収したダメージの分だけパワーアップ出来るのがその剣の長所だが、一撃を放てば威力はリセットされるぞ」
「言いたい事は分かってますよ。カウンターに注意しろって事ですよね」
「分かっていれば、良い」
武田は黒づくめの男の対処を雲雷に任せ、武田は見守る事に決めていた。
黒づくめの男は不快な笑い声のまま、いつの間にか手にしていた短剣を雲雷に目掛け、投げつける。雲雷は軽々とその短剣を手にしていた雷鳴雷轟で切りつける。そして、直ぐ様雲雷は雷鳴雷轟から雷を放つ。この瞬間、武田は直ぐ様耳を防いだ。そのまま雷剣から響き渡る轟音がどれ程のものなのか、理解しているからこそ武田は耳を防ぐに至った。