第740話 嫌な予感
アーサーはエリザベス女王の元に行き、何かを耳打ちをする。
その声はガラハッド、切り裂きジャックに聞こえる事は無い。
「早く、アーサー様と話をさせろ」
切り裂きジャックは今まで静かにしていたのが、嘘の様に急に騒ぎ出す。
「アーサー、私もあの男と話しましょう」
エリザベス女王のその言葉にアーサーは動揺する。
「何を仰っているのですか?あの様な者と同じ空間に居るだけで僕は反対したのに、これ以上は接近させません」
「アーサー、私は知りたいのです。私は彼が何処から来たのか知りたいのです」
「ガラハッドの報告によると、楽園、そして別の世界と言う表現をしたようですが」
「……嫌な予感がします。今まで、動いていなかった。チーム[レジェンダリー]の影を感じます」
「……分かりました。僕がお守りします」
「では、行きましょう」
椅子に腰かけていたエリザベス女王は立ち上がり、切り裂きジャックの元へと駆け寄る。そんなエリザベス女王を守る様にして、アーサーは続く。
エリザベス女王は切り裂きジャックの目の前に立つと同時に切り裂きジャックは叫び出す。
「お前に用等は無い。失せろ!ババア」
切り裂きジャックのその言葉を黙らせる為、ガラハッドは切り裂きジャックを殴りかかろうと、動き出すが、それよりも早くアーサーが切り裂きジャックの胸元を掴む。
「言葉には気を付けろ。このお方を次に愚弄したのなら、その瞬間にお前の首は地に落とす!」
「アーサー、止めなさい」
エリザベス女王のその言葉に素直に従うアーサーはエリザベス女王の隣へと移動する。
「……貴方がアーサー様なのですか?」
「確かにここに居るのはアーサー・グラフェリオンですよ」
「グラフェリオン?……俺が会いたかったのはペンドラゴンだ」
「……そうですか。アーサー・ペンドラゴンですね」
「そうだ!」
「チーム[レジェンダリー]の副リーダーのアーサー・ペンドラゴン。やはり、貴方はこの世界で名を馳せた切り裂きジャックを元に造られた存在の様ですね」
「そんな事はどうでも良い。俺はあの楽園に帰りたい」
「……ガラハッド」
エリザベス女王がガラハッドへと話しかけた事によって、ガラハッドは姿勢を正す。
「はい。何でしょう?」
「切り裂きジャックを縛る魔法の鎖を手錠型にして、客人として、扱いなさい」
「……えっ?」
「切り裂きジャックを客人として、扱いなさい!」
「は、はい」
ガラハッドは戸惑いながらも、エリザベス女王の指示に従い、部屋を後にすると、手錠型の魔法の鎖へ変え、客人として、扱い始めるのだった。